- 島田 千草
- 株式会社ノーメン・ジャパン 代表取締役
- 東京都
- ブランドコンサルタント
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
前回の『ノーメンの泉 その2』では、グローバル・マーケットへの進出を目指す企業にとって
各国のローカル・マーケットをいかに魅了していくかが重要とお伝えしました。
ネーミングが一定の地域で受け入れられるためには、ローカルな視点で(きちんと機能しているかを)検証する必要があると私たちは考えています。
今日はその『ローカルな視点、ローカルの特殊性』のお話。
なにやら難しいタイトルになってしまいましたが、
要するに、マーケットもコトバも絶えず変化しているということなのです。
話題の言葉や流行語に敏感であることは、マーケットの「今」を理解するために必要です。
新製品や新社名のネーミングに、現在では死語になってしまったような言葉や、その言葉をイメージ想起させるようなキーワードを用いたとしたら、どんなに優れたプロダクトやサービスを提供していても、ブランドのイメージダウンを回避することは到底無理なことでしょう。
一方、流行り廃りに左右されない普遍的と思われる言葉をネーミングの一部に取り入れた場合でも、言葉から想起されるイメージが、場合によっては、なんとなく古臭く、堅苦しくて現況のマーケットにピッタリ合致できないこともあります。
言葉から想起されるイメージも、つねに変化しているのです。
では、分かりやすい例を挙げてみましょう。
日本中が歓喜に湧いたSAMURAI JAPANの2連覇達成。
あのイチローも
「サムライジャパンというネーミングがハードルになった」
と伝えられていますが、
このサムライという言葉から想起されるイメージは、とにかく『強い』。
本来、『侍』という言葉からは、『質実剛健』で、''たくましく''、''しっかりしている''イメージが想起できますが、WBC日本代表「サムライジャパン」の放つ''ドラマティック''で''輝かしく''、''華やかな''イメージとは一線を画していることは明白です。
もし、このWBC日本代表がSAMURAI JAPANという愛称でなかったとしたら、『''侍''』という言葉は『''質実剛健''』のイメージに支配され、実直でやや堅苦しく、融通のきかないイメージさえ醸し出していたかもしれません。
しかし、今回の「サムライジャパン」からのイメージが、『侍』という言葉のイメージを刷新させ、本来のイメージを進化させているのは歴然たる事実です。
試しに、ちょっと面白い実験をしてみましょう。
『侍』 『さむらい』 『サムライ』 『SAMURAI』
上記は、どれも同じ言葉を表現していますが、それぞれの言葉から漂っているニュアンスや想起されるイメージは明らかに異なってくるはずです。
さらにこの言葉を耳にしたとき、09年3月25日現在の日本では、間違いなくWBC日本代表をもっとも強くイメージするはずです。
でも、もしロンドンやパリの街頭でインタビューしてみたら、日本固有の武士やBUSHIDO、日本映画のファンだったら、おそらく黒澤明監督の『七人の侍―Seven Samurai』を想起してくるかもしれません。
1954年に作品公開された戦国時代を舞台にした七人の侍たちと、2009年WBC2連覇を果たした野球選手たち、同じイメージで捉えることにはちょっと無理がありますね。
いいネーミングとは、ローカルな視点、ローカルの特殊性を十分考慮し、検証を重ねながらはじめて生み出されるものなのです。
グローバルネーミング開発
世界へ挑むブランドネーム・CI開発
株式会社 ノーメン・ジャパン
www.nomenjapan.com