日経記事;『大日本印刷、動画で稼ぐオンライン診療などニーズ開拓、出版減少で転換迫られる』に関する考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

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日経記事;『大日本印刷、動画で稼ぐオンライン診療などニーズ開拓、出版減少で転換迫られる』に関する考察

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経営戦略 アライアンスの事例と経営手法としての活用と課題

皆様、

こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

 

10月15日付の日経新聞に、『大日本印刷、動画で稼ぐオンライン診療などニーズ開拓、出版減少で転換迫られる』 のタイトルで記事が掲載されました。

 

本日は、この記事に関して考えを述べます。

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。

『大日本印刷(DNP)が「第三の創業」を掲げ、構造転換を急いでいる。印刷市場はほぼ半減し、取引先の注文を待つ受け身の経営では生き残れない。狙うのが新型コロナウイルス禍などをきっかけに膨らむオンライン診療や仮想現実(VR)ショールームといった新市場だ。培った色や質感の表現力という資産をデジタルで生かす。。。』

 

DNPが現行事業で主戦場としているのは、印刷事業です。この印刷事業の国内市場規模をみると、以下のようになります。

 

「一般社団法人日本印刷産業連合会」は、2020年8月に2020年8月7日に公表された2018年の事業所数、従業員数、製品出荷額等を調査した経済産業省「2019年工業統計調査 産業編」に基づいて、従業員数3人以下の事業所も含めた2018年の印刷産業の事業所数は21,247ヶ所、従業員数は276,505人、出荷額は4兆9,829億円となったと発表しました。詳しくは、下記Webサイトをご覧ください。

https://www.jfpi.or.jp/topics_detail6/id=4674

 

この発表情報によると、2018年度の国内印刷産業の出荷額は、4兆9,829億円となりました。2008年の出荷額は6兆9,037億円であったため、10年間で1兆9,208億円の減少となったとのことです。

 

一般的に、世界の印刷市場は、インドなどの新興国では伸びていますが、日米欧などの先進国では、縮小傾向となっています。

 

日本では、約1カ月前に発足した新政権が、官公庁および企業分野でデジタル化を一気に加速しようとしています。日本では、今後印刷産業の出荷額が減少していくことは、明白です。

 

DNPは、この現在の主力事業環境下、新規事業を立ち上げるための様々なことを行っています。

 

その一つは、オープンイノベーション;連携・協業(アライアンス)で行う、スタートアップ企業や新興企業等との共創や事業創出展開です。DNPは、2019年8月1日にそのためのWebサイト「DNP INNOVATION PORT」を開設しました。

 https://www.dnp-innovationport.com

 

大手企業がベンチャー・中小企業とのオープンイノベーション;連携・協業(アライアンス)を上手く行うためには、何度か本ブログ・コラムで書いていますように、イコールパートナーシップで実行できるかどうかがカギになります。

 

過去の大手企業とベンチャー・中小企業間のオープンイノベーション;連携・協業(アライアンス)の事例を見ますと、大手企業がベンチャー・中小企業の技術ノウハウなどを獲得し、ベンチャー・中小企業が得をしないケースがあります。

 

オープンイノベーション;連携・協業(アライアンス)は、全参加者が「Win/Win」の関係になることが、成功の条件です。

 

DNPが、この「Win/Win」の原則に従ってオープンイノベーション;連携・協業(アライアンス)を行い、新規事業立上を成功させることを祈念いたします。

 

一方、DNPは、新規事業分野の一つとして、画像のデジタル処理技術を磨いてきました。過去に話題になった一つに、「行政文書」や「貴重資料」「美術作品・文化遺産」などのデジタルアーカイブ事業があります。

 

事例の一つに、世界遺産 仁和寺 国宝「金堂」高精細8K VR コンテンツ制作が、マスコミで取り上げられました。

https://www.dnp.co.jp/biz/case/detail/10158119_1641.html

 

本日の記事では、DNPの動画の高精細度処理による遠隔医療事業への参入です。現政権は、基本的に国内での遠隔医療の実施を行うことを表明しています。

 

この視点から、DNPが培った画像処理技術で遠隔医療事業に参入することは、新規事業立上のために合理的です。DNPは、この遠隔医療分野での事業展開は、国内だけでなく世界市場も視野に入れていると考えます。

 

新型コロナウイルスの影響拡大は、日本だけでなく世界でデジタル化を加速させます。テレワークや遠隔医療などの普及は、加速化されます。

 

場所が離れたところで、オンラインで会話や判断、診断などの作業を行うときに、画像は重要になります。

 

DNPが遠隔医療だけでなく他のリモートワーク時に必要とされる画像処理技術に、コアとなる技術・ノウハウ・商品を提供可能であれば、印刷事業の落込みを補う新規事業立上に貢献します。

 

画像処理技術に関しては、国内外に多くの競合企業が存在します。また、潜在顧客のニーズを先取りして市場開拓するには、ベンチャー・中小企業とのオープンイノベーション;連携・協業(アライアンス)をフル活用する必要があります。

 

DNPは、縮小する印刷事業を見越して、ここ数年間新規事業立上のために、投資やオープンイノベーション;連携・協業(アライアンス)を行ってきました。

 

世界市場でのデジタル化は、確実に印刷事業の市場規模を縮小していきます。ここに足場をもっている企業は、新規事業立上に失敗すると市場から撤退することになります。

 

過去の事例では、デジタルカメラの急速普及で写真フィルム市場が急速に縮小した結果、デジタル化の波に乗り遅れた米国のコダック社は、2012年に倒産しました。

 

一方、国内の富士フィルムは、医薬品、医療機器、化粧品、健康食品や高機能化学品などの新規事業立上に成功して、生き残っています。

 

既存事業分野が縮小していく場合、企業がやることはキャッシュフローがあるうちに、新規事業立上を確実に行うです。

 

このためには、企業は自社がもっているコア技術・ノウハウを棚卸して、自社の強みを最大限発揮できる新規事業を見つけて、実行することが必要です。

 

もし自社にコア技術・ノウハウが無い場合、M&Aを行ったり、オープンイノベーション;連携・協業(アライアンス)を活用したりします。

 

インターネットやITの急速普及は、既存事業基盤が早期に破壊されていく場合を数多く生み出しています。

 

トヨタ自動車のような大手企業でさえ、自動運転機能付EVの開発・実用化や、シェアリングエコノミーの事業環境に対応するため、新規事業立上には、自社技術・ノウハウだけでなく、オープンイノベーション:連携・協業(アライアンス)を積極的に取り入れています。

 

DNPが置かれている事業環境は、トヨタ自動車と同じだと考えています。DNPが新規事業を立ち上げるには、他企業とのオープンイノベーション;連携・協業(アライアンス)を巧みに行う必要があります。

 

更に、DNPは、新規事業に適した販路開拓・集客を国内外で確実に行う必要があります。DNPの今後の事業展開のやり方は、中小企業が新規事業立上を行うときの参考事例の一つになります。

 

この視点から今後のDNPの新規事業のやり方に注目していきます。

よろしくお願いいたします。

 

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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