- 大澤 眞知子
- Super World Club 代表
- カナダ留学・クリティカルシンキング専門家
カナダに未成年が単独で留学する場合、親に代わってケアをし緊急の場合の決断をする大人を後見人(custodian)として指名する必要があります。
州により後見人の必要な年齢は微妙に異なりますが、高校留学生の多いBC州では19歳未満の場合、後見人なしでは学生ビザが発行されません。
後見人とはImmigration & Citizenship Canadaのサイトにこう書かれています:
“A custodian is a responsible adult (a Canadian citizen or permanent resident) who takes care of and supports the child.”
(カナダ市民か、永住権保持者である大人で、留学生の面倒を見、支える責任を有する)
それ以上の規定はありませんので、いわばカナダ市民か永住権を持っていれば誰でもなれる妙なシステムです。
そして、そこがインチキの温床となっていることが長らく問題ともなっています。
例えば、日本の高校生がカナダに留学する時、エージェントを通す場合、自分で手続する場合の2通りがあると思います。
ほとんどの受入れ教育委員会では、Custodianには留学プログラムスタッフが名前を書きます。
有料のところもあれば(年間$300 から$4,000まで)無料で提供しているところもあり、州政府は金額には介入していません。
エージェントを通すと、エージェントがCustodianになる場合もありますが、その費用は明らかにはせず、曖昧なサポート費(結構高額です)として請求されます。
ひどい場合は、受入れ教育委員会が無料で提供しているCustodianであるにも関わらず、留学生からは費用を取るところもあります。
(エージェントからの請求については細かく内容を質問することをお勧めします)
実は、費用よりももっと問題なのは、実際Custodianは留学生のことをよく知っているわけでもなく、日々接するわけでもなく、悩みの相談に乗ることもほとんどありません。
費用を払いCustodian をつけても、単なる書類上のことだけで、親元を離れた孤独な高校留学生の味方として頼ることは叶いません。
以前に親しかった教育委員会留学プログラムでは、受付のおばさんをCustodianに使っていました。
おそらく給料への上乗せがあるのでしょうね。
Custodian を指定したり、Custodianになる場合は、Immigration Canadaから書類をダウンロードし、Custodian と留学生の親が公証人の面前で署名したものを提出する必要があります。
たくさんのCustodian署名の公証を扱っているバンクーバーの中国人弁護士の言です。
「あるエージェントが、なんと10人もの未成年留学生のCustodian書類を持参し署名への印章を要求しました。 本当にその子たちを知っているのか? 本当に責任を持って守る気があるのか? と問いただし、結局、公証は断りました。」
これは日常茶飯事的な「カナダ高校留学」の隠れた膿の部分です。
教育委員会の中には、スタッフではなくあてがったホストファミリーをCustodianにするケースも多々あります。
費用はおそらく生徒が払う学費の中から出ていると思います。
「それなら、日々うちの子を見ているので良いCustodianではないかな?」と思われるかも知れません。
ホームステイが円満に進んでいれば問題はないのでしょうが、トラブルがありホストチェンジをしたり、あるいは受入れ学校の意味不明の理由によりホストチェンジがあった場合はどうしますか?
また1からやり直しです。
というより、Custodian であることを逆手に取り、まるで留学生を人質のように考えているホストがいることも知っておいて下さい。
リッチモンド留学中の17歳中国人留学生が自殺をしたのが2年前。
誰にも相談出来ず、故郷と親を思いつつ孤独に死を選んだ悲惨なケースでした。
その後、ほんの少しだけCustodian についての議論が起こりましたが、あっという間に消え去りました。
「そんなことより、どうやってもっとたくさんの留学生を高校に勧誘し、授業料収入を確保する」ことが優先されている「カナダ高校留学の実態」です。
遠く離れた、言葉も文化も異なる異国に子どもを送ろうとしている親のみなさん。
実際、留学中の高校生は相当の孤独感と毎日戦っていますよ。
まだまだ親の愛情と庇護がこの上なく必要な未成年です。
留学をビジネスとみなすエージェントや受入れ教育委員会は、あなたの子供を守ることは考えていません。
それでも「高校留学」をどうしても選んだ場合は、どうやって遠く離れた子どもを守るかを常に考え、緊急時への対策を持っているが必須です。
カナダは妙な国だと思います。
非常に優れた教育制度を持ち、個人の自由を重んじ、両手を広げた難民受入れでは世界1のカナダなのに、こと高校留学生となると儲け主義に走ります。
「悪質エージェントが支えるカナダ高校留学」にも書きましたが、エージェントが信頼出来るかどうかの査定基準を儲けていない唯一の国がカナダです。
授業料収入を持ってきてくれる嘘つきエージェントは仲間だと思っているのでしょうか。
また、年間の高校留学生数の制限を設けていないのもカナダだけです。
十分な面倒も見れないのに受け入れるだけ受入れ、適当な書類だけのCustodianをつけ、膨大な額の授業料収入を狙っているのでしょうか。
「カナダの高校留学」には大きな大きな隠れた膿があります。
その膿の中に投げ込まれないよう、親子でよく考えてみて下さい。
ご相談も受け付けております。
このコラムの執筆専門家
- 大澤 眞知子
- (カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
- Super World Club 代表
カナダにいらっしゃい!
カナダ 在住。パンデミック後のNew Normal 留学をサポート。変わってしまった留学への強力な準備として UX English主催。[Essay Basics] [Critical Thinking] など。カナダから日本に向けての本格的オンライン留学準備レッスン・カナダクラブ運営。
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