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超訴訟社会(平野晋著、ビジネス社)

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雑感 書評
今日は、裁判員制度導入前に是非とも読んで頂きたい本を紹介します。

平野晋「超訴訟社会ーモンスター化するー権利主張と恐怖の連鎖」
ビジネス社2008年12月(新書版)

です。

著者の平野氏は、NY州弁護士でもある中央大学の教授です。
元NTTドコモ法務室長でもあり、実務に根差した法学者です。

この本で平野氏が伝えたかったことは、アメリカのような濫訴社会を
招くことなく、抑圧的な因習社会に逆行せずに住む方法であろう。

172ページ以下の「おわりに」にそのエッセンスが凝縮されている。
つまり、以下の6点である。

第一に重要なのは、訴訟や裁判に頼りすぎてはいけないという自覚である。
訴訟よりも社会に必要な規範は、「道徳、礼節、倫理規範と呼ばれる
ルール」である。

第二に重要なのは、埠頭に抑圧されることなく、特に今の日本人が
再発見・再認識すべき倫理観は何かと問えば、それは「他人の権利への
平等な尊重」だ。

第三に重要なのは、「正義」という概念が多義的であるという事実だ。
アメリカの法曹界においては、「百人いれば百通りの正義がある」と
いわれる。ユーモアにおいてさえも「正義とは自己に有利な決定をいう」
と揶揄されるほどだ。

第四に重要なのは、「自己責任」の倫理規範である。
そもそも他人の権利に対して平等な敬意を払うとは、何でも他人のせい
にしないという意味である。
他人のせいにしないとは、むやみに他人に責任を転嫁して、自分自身が
安堵を覚えようとする「本能的・認知的な甘えを許さない」ということだ。

第五に重要なのは、江戸幕府の八代将軍である徳川吉宗が、治世に
用いたといわれる「中庸、折衷と呼ばれる徳」、あるいは日本人が
尊重してきた「大岡裁き」と呼ばれるバランス感覚だ。
それは、筆者が専門とするアメリカ法において、「衡平」(イクイティー)
と呼ばれるほうに近い考え方でもある。

第六に重要なのは「マスコミの報道にいちいち惑わされてはいけない」
という点だ。
そもそもテレビ、ラジオ、新聞などのマスコミは、視聴率、聴取率、
あるいは読者数にその財政基盤が左右されるから、大衆への「受け」に
媚びざるを得ない性格を本質的に内包する。
事実を伝達すべき報道の内容さえも、大衆受けを狙い、つい「劇的」
(ドラマチック)な伝達に偏る。物事を「善と悪」に二分して、
単純化して伝える。劇場型な二元論のほうが分かりやすいし、
スッキリしているから大衆に受けるのだ。


以上の6点の主張を、平野氏は本書の中で、実例や映画、ドラマを使って
濫訴社会の恐ろしさを具体的に解説していく。

日本社会がクレーマー化し始めている現代だからこそ、
アメリカの実情を研究する平野氏の主張が他人事ではないことに
気付かされる方も多いはずである。

裁判員制度が導入され、庶民から切り離されていた感のある「法」が
身近なものとして近づいてきたタイミングで、
我々それぞれが当事者意識をもって向き合わなければならない時代になってくる。

その上で、その法を作っているのは誰なのか。
ろくでもない法だったとしても、それを作る政治家を選んでしまったのは
我々自身なのである。

法化社会の前提を頭において、本書を是非読んで頂きたいものである。

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