- 大澤 眞知子
- Super World Club 代表
- カナダ留学・クリティカルシンキング専門家
「ネガティブな自分を変えたい!留学して環境を変えたい!」高校留学の危なさ
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「自分を変えたい、ネガティブな自分を変えたい。それには違う環境がいいのでは!」を高校留学の動機にする傾向に危惧の念を感じています。
母国語を使え、親がいて、慣れ親しんだ環境と比べて、外国での未成年留学は、そんなに甘いものではないですね。
余りにも短絡的な発想だと思います。
【質問】
中学3年生 14歳男子です。 留学を考えています。
・ネガティブで病んでる自分を変えたい
・英語力を身につけたい
・日本人の考え方が嫌い(家族の問題や、学校のイジメを経験しました)
日本人の差別的な考えや、「人と同じ」を強要すること、寄ってたかって人を叩くところが嫌いです。
という理由では留学は出来ないのでしょうか?
でも留学しても今より辛い状況が必ず待っているし、もっとネガティブになるのでないかと不安です。
留学するとなったらまず何をすればいいのでしょうか?どこの国がいいのでしょうか?
【回答】
「人と同じであること」を重要だと考える日本は、確かに窮屈ですね。
また「寄ってたかって人を叩くところ」も醜いと思います。
あなたと同様、そんな日本社会から外の世界に飛び出したいと希望する、日本の多くの若者をカナダで支援して来ました。
そろそろ30年近くになります。
カナダ在住、高校留学の裏を目撃して来た経験からアドバイスさせていただきます。
場所をカナダと仮定しお話しますが、カナダは他の英語圏と比べると「留学」環境が優れていると思います。
1.高校留学出来るかどうか、一番重要な指針は、あなたの学力です。
「高校留学」とは、生まれた時から英語の環境で育ち、高校の授業に必須のクリティカルシンキングに囲まれた育った同級生のいる高校に入るわけです。
英語話者の同級生と同等の英語力、クリティカルシンキング思考力、広い範囲の学習能力がないと、学校の授業にはついていけません。
カナダは公立高校が積極的に留学生を受け入れてはくれますが、能力の低さゆえに、正式な授業にはなかなか入れません。
特に、卒業に絶対必要なEnglish10,11,12の授業には、入るどころか、合格するのに4〜5年はかかるのが普通です。
もっとも、成績は気にしない、卒業までに5年かかることも納得という場合は別ですが、大切なあなたの人生それでいいのかどうかもじっくり考える必要があると思います。
2.高校留学への次なる課題が、お金です。
授業料、滞在費、諸々を入れると年間250万〜300万は必要です(最低ラインで)。
それ掛ける5年ということが合理的な選択肢なのかどうか、家族の合意が要りますね。
3.1と2をクリアした場合として、次に進みます。
高校留学した程度の英語力は、日本の方が想像するほど高くはありません。
1〜2年の留学では、日本で受験勉強している高校生の英語力の方がはるかに優秀です。
5年頑張ったとしても、雇用に値する英語力は身につきません。
その先の大学で、英語を使い専門分野を勉強する経緯なしでは、帰国後に「英語が出来ます」と言える能力は付きません。
せいぜい、買い物中に店員の言うことが理解出来、ホストファミリーの言うことが半分ほど理解出来る程度です。
(細かいニュアンスの理解はまだ無理です。)
4.ネガティブな考え方は、どこに住もうが、世界のどこに行こうが大きく変わることはありません。
もともとの人間の性格は、大きく分けて5つに分類されます。
そのひとつがneuroticism と呼ばれ、何でも「否定的」に捉える気質のことで、環境ではなく遺伝子で決まります。
様々な研究結果を見ると、日本人は、およそ9割以上がその遺伝子を持っていると思われます。
また、脳心理学からは、「ネガティブ」な気質は、一生を通じて大きな変動はないと、これも科学的研究結果が物語っています。
もし、変わったとして、10%〜15%程度の変化だと考えられています。
それでもいい!と海を渡ったとしても、「異なるものを排斥しない」「イジメのない」環境が約束されているのではないことも理解しておいて下さい。
今のアメリカを見たらわかりますね。
トランプの作っている醜いアメリカでは、ガソリンスタンドで英語以外の言葉を話していただけでも警官に尋問されます。
インド人の技師が「国に帰れ!」と撃ち殺される国が今のアメリカ、いや、世界がそのような風潮になっていると思います。
カナダは、多民族を多く受け入れ人種差別は法律で厳しく禁止している国ですが、最近はどうも様子がおかしいです。
白人の7割以上が、「移民は白人文化に従うべきと考えている」というデータが最近発表されていました。
嫌な奴はどこの国にでもいます。
特に高校生年代の中には、人種偏見が強く、異なるものは避ける傾向が非常に強いです。
特に、英語も出来ない、精神的にも幼い日本人留学生には見向きもしません。
カナダ人高校生の家族も、留学生とつるむことは余り奨励しないという残念な傾向もあります。
まだまだ親の影響、親の社会でのネットワークが必要な未成年が、日本に親がいながらたったひとりでカナダにやって来た。
何か問題があるのではないか? 親は子育てを放棄したのか? などと、疑いにも近い見方をする人も多いです。
従って、カナダに高校留学したら現地の友達がいっぱい出来て!と、希望を持っているのでしたら、その達成は非常に難しいと認識しておいて下さい。
_______________
生きにくい社会かも知れませんが、世界中そんなに大きな差はないと思いますよ。
もっともっと生まれた国日本で学ぶべきことがたくさんあると思います。
絶対必要は学力もしかり、社会をもっと知ることもしかり。
その後、自分がひとり立ちの準備が出来たと思ったら、外の世界に勇んで飛び出して下さい。
この国でこれをしたい!と明確な目的を持って。
自分の人生ですから、大切にして下さい。
Good Luck!
このコラムの執筆専門家
- 大澤 眞知子
- (カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
- Super World Club 代表
カナダにいらっしゃい!
カナダ 在住。パンデミック後のNew Normal 留学をサポート。変わってしまった留学への強力な準備として UX English主催。[Essay Basics] [Critical Thinking] など。カナダから日本に向けての本格的オンライン留学準備レッスン・カナダクラブ運営。
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