最近風の強い日が多く、風が苦手な私は外に出るたびストレスを感じます。でも風を止めることはできないので、歩きながら「私はなんでこんなに風が嫌なのか」と考えてみました。行く手を遮られるような不快感、暴力的なイメージ、自由がきかない不自由さ・・・、みなさまはいかがでしょうか。
さて、今月のPHPスペシャルでの連載「働く女性のための相談室」のお悩みは、いくら注意しても態度を変えない部下についてです。
私もかつて、「なんでやらないんだろう」「絶対おかしいのに」「なんであの人はあれで平然としていられるのだろう」「どういう神経をしているのか」「信じられない」「頭はいいはずなのになぜわからないのか」とイライラしていました。でも、今そう思うことはほとんどありません。なぜなら、カウンセリングを通して、わざと自分の評価を下げようとする人はいないと知ったから。
仕事柄、私は人のお悩みをよく聴きます。そのなかには、「仕事ができない」というお悩みもあります。仕事ができていない人はその人なりに苦しんでいるということをカウンセラーになって初めて知りました。
彼らの話をよく聴くと、大きく2つの原因があるように思います。指示する側の問題と、その人自身の適性の問題です。
他人の適性についてはどうすることもできません。でも、自分の指示の方法は工夫の余地があります。
実際のご相談でも「何度言ってもきいてくれない」という話を詳しく聴くと、表現のしかたに問題があるということが少なくありません。
たとえば、「もっとちゃんとやって」という注意。これを何回くりかえしても、通じない人には通じません。それなのに、懲りずに同じ表現をくり返しているということはありませんか。
自分にとっての「普通」と、他人にとっての「普通」は違います。「普通」の基準が違うように、「ちゃんと」も人によって違うということを改めて認めましょう。
つまり、「ちゃんと」を「こういう根拠に基づいて、こういうときは具体的に何をどうする」と細かく行動レベルで説明しないと相手には通じないということです。特に、その行動を必要とする理由と具体的な行動の詳細な説明は必須です。あなたにとっては常識でも、できていない人にとっては常識ではないからです。頭のよしあしと社会常識の有無は関係ないのです。
「そんなこと言わなくてもわかるはず」「いちいち言いたくない」「常識でしょう」などは残念ながら、大人のコミュニケーションにおいては「甘え」です。厳しく言うと、怠慢です。
コミュニケーションは、わかってもらいたいほうが言葉を尽くすもの。わかってもらいたいのに「察して」は、ちょっと矛盾していると思いませんか。
今までのご相談で、「私はちゃんと言っています」と言う人が本当に充分な説明をしていたことはありませんでした。自分ではあたりまえだと思っているため、気づかないうちに肝心なところを省略し、説明不足になっているものなのです。
「わかってもらえない」と困っている方、相手を責める前に、ぜひご自身の説明不足の可能性を振り返って、もっと詳しく説明するか、相手の言い分を聞くかしてみてください。また、アサーションというコミュニケーションスキルを学ばれると役に立つはずです。
今発売中のPHPスペシャルの特集は、『なぜかトクする人、いつもソンする人』。このテーマは、私も近いうちにぜひ書きたいと思っています。
このコラムの執筆専門家
- 藤井 雅子
- (東京都 / 心理カウンセラー)
- メンタルエステ ココロの部屋
カウンセリングはココロのエステ
自分を好きになれない、自信がない、思ったことを上手に表現できない、人目が気になって仕方ない、不安やイライラで毎日が楽しくない、甘え下手・・でもどうしていいかわからない、そんな悩める女性たちを心から応援します。ぜひ一度ご相談ください。