税理士のためのマーケティングマニュアル - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
税理士
専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

税理士のためのマーケティングマニュアル

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 会計・経理
  3. 会計・経理全般
雑感 書評
今日は、船井総合研究所の会計事務所担当コンサルタントである
大谷展之・竹内実門、両氏が執筆した
「税理士のためのマーケティングマニュアル」(第一法規2008)
を紹介します。

大谷氏とは先月参加した大同生命のセミナーでの講師でしたので、
名刺交換させて頂きました。竹内氏は今月の大同生命のセミナーの
講師なので、その折にご挨拶させて頂こうと思っています。

本書は、船井総研が行ったコンサルタント事例を元に
マーティングのノウハウを公開したものと言ってもいいでしょう。

近年、会計事務所を取り巻く環境は厳しいものになってきています。
長く続く不況の影響から、顧問先企業の倒産や廃業に伴い、
顧問先の減少や顧問料の低下が求められ、
会計事務所の経営を圧迫し始めています。

本書は、マーケティングの手法を用いて、
日本の中小企業の経営を側面から支援している会計事務所の
成功と発展のために、船井総研のもつノウハウを公開したものです。

私の事務所は、昨年まで私1人で走り回っている事務所でした。
私が昨年初頭に体調を崩したために、
お客様にご迷惑をおかけしたこともありました。
今でこそ、体調も戻り、普通にしていますが、
先生1人の事務所がいかにお客様にとってリスキーなことなのか、
自分が体調を崩したことで、思い知らされましたね。
昨年半ばから、かつての受験仲間に事務所に入ってもらい、
事務所の体制を一新して2年越しで事務所の建て直しをしてきました。
じつは、本書に書かれているノウハウのうち、
その大半は、うちの事務所で対応可能なものでしたし、
その多くは実際にやってきましたし、これからもやろうとしています。

しかし、先月の大谷氏のセミナーに出席して、
私の方向性は間違っていないけれども、そのやり方や実践の仕方に
問題があったことが思い知らされました。

おそらく、本書を読まれると、
多くの税理士がショックを受けられると思います。
自分のやり方との違いに愕然とすることでしょう。

それは、この業界の特殊性に理由があるかもしれません。
本書18ページによると、税理士の年齢構成は、
70代が一番多く29.1%、ついで50代が19.3%、60代が18.4%と
50〜70代が66.8%と実に2/3にのぼる。80代も5.4%おり、
60代以上でも52.9%と過半数を超えているのである。

私見ですが、税務署に勤務した方が23年間勤務の上、内部の
特別試験に合格すると(昔は無試験という噂も・・・)、
税理士資格が付与されるため、退官された国税OBが
税理士全体の約半分であるためだと思われます。

また、本書24ページによれば、会計事務所のライフサイクルが
すでに斜陽産業の入り口に入りかけているそうです。

景気回復が遅れ、税理士の主要顧客である中小企業が衰退していく
傾向にあり、新規に設立されていくベンチャー企業は、
上場を目指し、税理士よりも公認会計士との契約にシフトしている
現状を鑑みれば、確かにその通りかもしれません。

ただ、それを仕方がないと割り切って、従来型のビジネスモデル
のままで生きていくのであれば、座して死を待つに等しいですね。

特にIT化の進展により、会計ソフトが当たり前になり、
会社で自計化できる環境にある会社が多い現在では、
記帳代行を主たる収入源とする会計事務所が10〜20年後には
淘汰されていくのは、火を見るより明らかである。

会計事務所が生き残っていくにはどうすればいいのか。
そこにマーケターである船井総研のノウハウが生かせるのであろう。
200ページに満たない本書の中で、100ページを越える分量を用いて
事例紹介を行っているのは、船井総研のノウハウそのものである。

本書をここで紹介するのには多少のためらいがありましたが、
うちの事務所も頑張って大きくなろうとしていますが、
経営者の皆様にもどういう事務所にお願いすればよいのか、
その目安を知って頂くいい機会であるとも思いましたので、
ここで紹介させて頂くことにしました。

同業の皆様とも共存共栄できるそんな関係を築いていきたいものですね。