- 野平 史彦
- 株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
- 千葉県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
この写真の中には、それらの部屋(空間)が皆写っている。
ここで内部と外部を分けているのは、勿論、建具なのだが、
その建具は引き込まれていて目にする事ができないので、
この写真では、内部と外部は連続している。
ただ、床面のわずかな段差と、パティオには天井が無い、という事実によって
その境界を意識する事ができる。
キッチンとダイニングの境界は、流し台を隠す床から立ち上がった腰壁。
ダイニングとリビングの境界は、ダイニングセットとその上にぶら下がった照明器具。
リビングから和室を分つものは畳と天井仕上げと、そして障子戸。
しかし、それらは総て連続したひとつの空間である。
キッチン、ダイニング、リビング、和室、そしてパティオ。
これらは<壁>によって仕切られている訳ではない。
ひとつの空間の中にそれぞれ<名前>を付けて、表情を変えているにすぎない。
名前を付ける事、それは人が空間を意識するための作法に他ならない。