- 前田 紳詞
- 代表取締役
- ファイナンシャルプランナー
対象:お金と資産の運用
商品(コモディティー)を組み込んだポートフォリオ設計
これまで分散投資といえば「株式」「債券」を国内・海外で組み合わせるのが一般的でした。
皆さんが支払っている国民年金や厚生年金も、年金積立管理運用独立行政法人で 上述の4つを組み合わせて運用されています。
実際の運用成績はコチラで見ることができます。
ちなみに平成19年度の運用成績は”マイナス4.59%”でした。
海外の年金運用管理機関は少し前から商品を運用対象として取り込んでいます。
有名なところではカルパース(カリフォルニア州職員退職年金基金)があります。
ここは従来のオーソドックスな投資先に加え、商品や不動産も分散投資の対象に組み込んでいます。ちなみに去年の運用成績は”プラス約19%”でした。
世界の石油価格が決まる場所 ”NYMEX"
数日前のコラムにも書きましたが9月13日から21日までニューヨークにいました。
9月18日(木)は朝から”ニューヨーク商品取引所”別名”NYMEX"を見学しました。
ここではニューヨーク原油や天然ガス、金とかが取引されています。
少し前での「石油が1バレル130ドルを突破した」とか、「いずれ200ドルになる」という話はここで取引されて決定されていました。
我々のガソリン価格が高いのもここで決まるからです。
ちなみにシカゴにも取引所があり、規模はそちらの方が大きいそうです。
場所は、テロで破壊されたワールドトレードセンター跡地の向いにあるワールドフィナンシャルセンターの隣です。
そばにはヨットハーバーもあり眺めのいい場所です。
NYMEXのホームページ
http://www.nymex.com/index.aspx
ここは現在、見学ツアーを中止していますが、特別に見学を受け付けていただけました。
展示品とかの見学コースがあるようですが、そこは一切見ないで、いきなり大きな体育館みたいなトレーディングルームの見学コンコースに案内されました。
行くと取引所の様子をTV局が中継をしています。
現在、証券取引所といのうはほとんどがコンピューターでの取引のため非常に静かで動きもありません。ところがこのNYMEXでは今でも全体の2割がトレーダー自身の取引になっています。昔の証券取引所で行われていた”場立ち”がまだ行われています。
見学した会場は石油と天然ガスを取引している現場で、よくTVのニュースでも出てくる場所です。
写真撮影が一切禁止のため、写真は撮れませんがその熱気はすごいものです。
フロアには145人のトレーダーがいて、うち女性は2名だけ。常に押し合い、へし合いの押しくらまんじゅう状態が9時から14時半まで延々続くそうです。
そのため体力が重要な仕事のになるます。トレードのあいだはトイレにも行けないそうです。行くとその間に価格変動したら大損するからだそうです。
会場内は取引のでかい声が飛び交い大変にぎやかです。トレーダーの8割以上が石油に群がっています。見学しているときでの価格はクルードオイルといういわゆる原油が97ドル前後で取引されていました。
正に目の前で石油の価格が決められていました。
長期投資対象になりつつある商品相場
2年前からシステム化が導入され全体の8割がコンピューターでの取引になっています。
残り2割が”場立ち”です。すべてシステム化しない理由は、まだコンピューター化が 2年しかたっていないため試験期間が必要なことです。
もうひとつは電子取引では価格が瞬時に決まってしまいからだそうです。人間が考える時間があってもよいからだそうです。
2年前にシステム化されたせいか、石油や金も投資対象として価格が急騰するようになりました。
また金のETFやコモディテーファンドが作られ、商品も長期投資の対象として認められつつあります。
世界の年金基金ではすでに商品がポートフォリオの一つとして組み込まれてきています。
商品価格そのものは現在、株式同様に下落しています。一方で資源不足は今後も続くという予想もあります。
今後のことは誰にも分かりません。そのためにも、資産ポートフォリオに株式・債券・に加えて商品も今後は組み込んでいく必要があるでしょう。