「あれ?あの人のところに料理が運ばれてきたけれど、僕の方が先に注文したのにな・・・まあ、あの人はA定食で、僕はB定食だけどな・・・B定食って時間がかかるんだろうね・・・(以上心の声)」
ある日のランチタイム。
私は、町の定食屋さんにお昼ご飯を食べに入りました。
私は、空いていたカウンター席に座り、「B定食」を注文しました。
程なくして、私の隣には後から別の男性客が来てドカッと座りました。
彼が注文したのは、「A定食」
「お待たせしました~」
しばらくして、店員さんの元気な声が聞こえました。
お!来たな!と思った私は、見ていたスマホを脇に寄せたのですが、定食が届いたのは隣の席。
先ほど、私より後に来て「A定食」を頼んだ男性客のところに、その「A定食」が届いたのです。
「あれ???」
私は、「僕のB定食はまだかよ~。後から来たひとに抜かされているやん!!」
と思ったのですが、それは口には出さずに、店員さんの方をチラッと見たのです。
しかし、彼女は、私の視線を避けたのか気がつかなかったのか、さっさと厨房の方に戻って行ったのです。
「ま、次は僕のところに来るんだろ。もう出来るよね、きっと」
私は、気を取り直して、お茶をひとくちすすり、待つことにしました。
しかし、彼女が次に持って来たのは、また別の席の「A定食」。
さすがに、私の近くにいた、私と同じ「B定食」の客も、少しイラッしたオーラを出し始めていました。
「そうか~。A定食の注文を先に一気に作ったんだな。だから、B定食の客は後回しになっているんだな」
気の長い私は、そう理解してもうひとくちお茶をすすりました。
そして、しばらく待つと・・・
「お待たせしました~」
ようやく、私の「B定食」が私の目の前に運ばれてきました。
もちろん、私の近くの客のところにも次々と「B定食」が運ばれていきました。
これって、よくあるシーンですよね。こんな、少しイラッとする経験って誰もがしていることでしょう。
でも、このシーン。実は、たった一言掛けるだけで、このイラッを感じさせず、逆に感じの良い店になれるのです。つまり、この店の店員さんはとてももったいない事をしているのです。
お昼時の定食屋さんが、ムチャクチャ忙しい事なんて、誰が見てもわかります。
厨房のおじさんも大変だと言うこともわかります。
きっと、その厨房の都合で、後に注文した方が先に出来る事ってあるのでしょう。
そんなことは理解しています。
だからこそ、そんな都合があるときには、
「すみませんね。今、B定食作っていますからね。もうちょっとだけ待ってね。ごめんなさいね」
とひと言、声を掛けてくれれば良いのです。
これだけで、順番が後回しになっても別に平気になっちゃうのです。
不満どころか、かえって親しみが湧いてファンになっちゃうのです。
お客様を不安にさせないようにすることが、店員さんの重要な役目です。
不安が重なると、それはやがて不満になります。
でも、いち早く不安を解消すると、それ安心になり、やがては親しみになるのです。
たったひと声で大きな違いなのです。
そんな小さなことをしっかりと押さえておくだけでも、繁盛店に一歩近づくんですよね。
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