出国税は、香港やシンガポールなど株式の譲渡が非課税とされる国に移住することで、課税回避を防止するために設けられる制度です。
出国時点において、株式等の時価の合計額が1億円以上であれば対象となり、その含み益に対して課税が行われます。
対象となるのは、株式だけではなく、投資信託や社債などのほか、匿名組合の出資持分なども対象となります。
しかし、売却していないため、納税資金もない場合もあるでしょうから、「納税猶予」という制度が認められています。
「納税猶予」とは、出国時に納税管理人の届け出をし、担保を提供することで、5年間納税を猶予してもらえるという制度です。
納税猶予の期間はさらに5年間延長できます。
この納税猶予の期間が経過しますと、納税義務が発生します。
さらに注意が必要なのは、納税期間中は、「居住者」扱いになります。
通常、海外転勤などの場合、「非居住者」となりますが、出国税の納税猶予の場合は注意が必要です。
また、株式等を非居住者に相続や贈与をした場合にも譲渡所得が発生する可能性があります。
所得税だけでなく、相続税や贈与税にも影響を与える出国税は混乱が予想されます。
このコラムの執筆専門家
- 大黒たかのり
- (東京都 / 税理士)
- 大手町会計事務所 代表税理士
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