- 吉原 賢
- KICHIGEN 代表
- 東京都
- クリエイティブディレクター
対象:ブランド戦略・ネーミング
初回に「企業の勘違いでつくられたブランド」について述べさせていただいた。製造業に多くありがちな、「いいモノだから売れる」という考え方を意味している。消費者のマインドや市場の動向など、リスクを出来るだけ抑えるために、それらのリサーチを行うべきだと申し上げた。もちろん、頑として、それを否定する経営者の方がいても一向に構わないが、結果に対する責任は負えない。
一方、消費者の持つマインドに関しては、前回の「消費者は気まぐれか?熱烈なファンか?」で述べたように、ブランドに無関心な人は別として、ブランドに興味はあるが価格などに左右されるタイプと、一途にブランドを信じて愛するタイプのどちらかに分類される。
そして今回は、企業と消費者のマッチングによってブランドがつくられることについて、考えてみたい。
ブランドは、商品やサービスを提供する企業と、それらを享受する側の消費者との相互関係から成立する。二十世紀の消費動向は、企業から消費者へと一方向だけという構図がほとんどであったが、現在はインターネットの普及や多様なSNSによって、消費者から企業に向けての賛同や意見、クレームに至るプレッシャーと向き合わなければならない状況にある。
その中には、敵視するものから、仮に過失によって非難を受ける事態になったとしても、真摯に忠告や励まし、応援を寄せてくれる人など、さまざまな反応を逐一知ることができる時代になっている。しかし、基本として消費者の大多数は、「気まぐれ」であると捉えた方が懸命であると思う。ひとつの不祥事でブランドイメージが損なわれ、発信するコンセプトがイメージできないブランドは、簡単に支持を失う結果となる。
ブランドは、一人でも多くの消費者から支持を得るために、核となるコンセプトを基本に、長い時間、それに応える商品やサービスを提供しなければ共感も支持もなくなる。
ただし、時代や市場環境などの要因で、商品だけを提供していた企業がサービス業に方向を転換したり、その逆があっても一向に問題はないと思う。一番、陥っていけないのは「過去の成功体験が忘れられない」場合である。時代や市場環境が変化しているにも関わらず、変化と痛みをためらい「保守的な態度を貫く」ことで、さらに窮地に追いやる事態となるブランドが多い。
ブランドのコンセプトは普遍的な言葉であるべきだ。それを消費者ならびに市場が受け入れ、支持してくれれば状況が変化しても、ブランドならびにコンセプトをイメージすることが十分に可能だからだ。
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