50歳からは人生を楽しむ家づくり  10 - 住宅イメージ - 専門家プロファイル

小林 裕美子
ストゥーディオ ステラ 一級建築士事務所 
東京都
建築家

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対象:住宅設計・構造

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50歳からは人生を楽しむ家づくり  10

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災害の時に備えて Ⅱ

 「引き戸の勧め」

 震災から大分時間が経ちましたが、あれから皆さんはご自分の家の中の地震対策を

 いろいろ点検された事と思います。私たちの設計に対する考え方も自ずと変わりました。

 建物自体の耐震は勿論ですが、建物は大丈夫でも地震の時に家の中で事故に

 会わないようにすることを、今では特に注意しています。


 震災時の話を聞いてみると、キッチンのスライド式の電気釜置き台がスライドアウトして、

 お釜が勢い良く飛んできた・・・とか、食器棚や本棚のガラス戸が開いて中身が飛び出した・・・とか、

 ピアノが動いた・・・とか、仏壇から位牌その他が飛んできた・・・とか、昼間だから良かったけれど

 夜の闇の中なら怪我しそうな危ない話を沢山聞きました。

 たまたま被災された方の家を設計する事になり、それまで以上にあらゆる可能性を想定して、

 家の中の事故を最小限に抑えようと、あれこれ工夫をして設計しました。



 そんな中で事故対策としてとても有効と思えるのが、日本の伝統である「引き戸」。

 「開き戸」よりスペースも取りませんし、何よりも何かがぶつかってもその衝撃で開く・・・

 という事が無いので、危ない家具の前に引き戸をつければ家具の転倒防止にもとても有効です。

 被災地の家の設計では、大きなものや危ない物の前には、出来るだけ引き戸をつけて

 物をその中に収納できるようにしました。

 おかげで色々なものが収納されて室内がすっきり見えます。それに引き戸には止め具や錠も

 揃っていますので、用途に合わせて選べば、簡単に開かないように出来ます。

 何より引き戸の引き手が進化しているのには、私もびっくりしました。見た目が素敵なのは勿論の事、

 以前は引き戸を開けるために壁から戸を少し出っ張らせておくのが常識だったのですが、

 今は壁と同じ面まで戸を引いてしまっても引き出せる引き手があるのです。

 だから戸が廊下に出っ張ったりしないので、スペースを完全に有効活用できます。

 皆さんもこんなに良い事ずくめの引き戸を今一度見直してみては如何でしょうか。


引き戸を閉めるとアート壁になるイタリアのキッチン

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