【住宅の安全性能を考える】-5 最終回 - 新築住宅・注文住宅 - 専門家プロファイル

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【住宅の安全性能を考える】-5 最終回

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【住宅の安全性能を考える】 最終回です。

5. 住宅の老朽化と長期優良住宅

 建物は時とともに感実に老朽化し、耐震性能を含め、いろいろな性能は低下していきます。劣化の度合いを少しでも小さくするためには、骨格をしっかりとつくるとともに、維持管理をしやすくつくることが大切になります。建物の寿命を長くすることは、そのほかにもいろいろなメリットがあります。ひとつは、解体に伴う廃き物の排出が減り、環境負荷を減らせます。また建設費の負担が減り、経済的な面で建主に余裕が生まれます。そういう観点からつくられたのが「長期優良住宅」制度です。

 「長期優良住宅」は、200年もつ家をつくろうという目的から生まれた制度で、それに認定されるためには、1)耐震性  2)耐久性(劣化対策) 
 3)メンテナンス性
  4)住戸面積 の余裕 5)省エネルギー性
 6)居住環境
まちなみとの調和 という6つのハードルをクリアしなければなりません。それぞれが難易度が高く、設計や申請にも費用と時間がかかり、さらに工事費としては通常の2割増しほどかかります。そのかわり税控除や長期ローンに関する様々な優遇処置があります。

 6つのハードルのうち、1)耐震性  2)耐久性
 3)維持管理 はわかりますが、4)住戸面積 の余裕や、6)居住環境
地域のまちなみとの調和は、なぜ必要なのでしょうか。それは、住宅が200年、つまり3世代以上にわたって受け継がれるためには、家族構成の変化に対応できるゆとりや柔軟性、そして家やまちへの愛着がわくような魅力的な空間づくりが重要と考えるからです。日本の住宅は欧米にくらべ寿命が短いといわれますが、家の建て替え理由を見ると「住みにくくなった」とか「今の生活に合わない」という建物の耐久性とは関係ない理由が少なくないのです。いつまでも住みつつづけられる家をつくるためには、物として堅牢なだけでなく生活を受け入れる許容力や、愛着が生まれる空間の魅力なども不可欠といえるでしょう。

 私たちの生命と財産を守る家。身近だからこそ忘れがちな家の役割について、この機会に、振り返って頂ければ幸いです。 (初出 住宅新報2011年10月4日号)

 

 

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