- 松岡 在丸
- 松岡在丸とハウジング・ワールド
- 東京都
- 建築プロデューサー
対象:住宅設計・構造
家族一人一人の立場から家づくりを見ていると、とても興味深いことが分かります。
例えばお父さんを例にとって考えてみましょう。
子供にとって特に父親はしっかりとした指針を与えるとともに、威厳をもって家族を引っ張り、そして安心感を与える存在。経済的な面でも家族を支え、いざというときに身を挺して家族を守る、そんな大黒柱です。
それだけの期待が掛けられ、それだけの働きが求められるわけですから、当然、休息だって必要。気分や思いをリフレッシュしたり、ヒューマンスキルを含めた様々な自己啓発や向上心も大切。でも日本の家づくりを見ていると、「アンチお父さん空間」な家が本当に多いと感じます。
では、家は、お父さんたちにとって居心地の良いものとなっているでしょうか。
家族の威厳を保つ
家の中における「お父さんの威厳」が現れる場所があるでしょうか? それはダイニングテーブルの座る位置かもしれません。リビングのソファーの固定位置かもしれません。あるいは書斎かもしれません。
「この大黒柱はお父さんだね」と言えるような目に見える大黒柱があるでしょうか。家の何かをお父さんに例えることができる、ということですね。
休息できるか、リフレッシュできるか
毎日働いて帰ってくるお父さんが、家でしっかりと休息を取ることができるでしょうか。静かな空間、休まるベッド、そして美味しい食事でリフレッシュ。時には趣味に没頭したり、家族で楽しい時間を過ごしたり。
家の中で家族でレクリエーションができるというのはとても大切です。子供にとっては、どこかに出掛けるということ以上に、お父さんが一緒に遊んでくれたという記憶がしっかりと残るもの。多額の費用と多くの時間を掛けて外出するよりも、家の中でほんの1時間でいいので家族そろってゲームをしたりする習慣が確立されると良いですよね。
では、そのようにみんなで過ごせる居心地よい空間があるでしょうか。リビングの使い方を「テレビを観る部屋」としてしまうと、それもできなくなりますので注意しましょう。
向上心を保つためにはやはり書斎を
仕事を家に持ち込むことは避けたいという方も少なくありません。でも、勉強する環境が家にあるというのは素晴らしいことです。
お父さんは、自分のスキルを磨いたり、あるいは家族のために自己啓発したりと、何かと進歩していきたいもの。そのための書斎、そして作業スペースとなる部屋が備わっていると、ひいてはそれが威厳を保つ場所にもなり、趣味などでリフレッシュする場ともなりうる、そんな家の使い方が出来るようになります。
今一度、お父さんと「家」の関係を見直してみてください。「早く家に帰りたい」と思える住まいを実現できているでしょうか。それとも「家には居場所がない」という悲しい気持ちになっていないでしょうか。
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