市場でまだ会社が知られず、商品が売れなくて四苦八苦しているときに、一定量の商品を買ってくれるお客さんはありがたい存在です。しかも、1度目の取引では気持ちよく言い値で買ってくれ、これはよいお客さんと思っていると、ほどなく2度目の取引があるそうです。
買ってくれる取引数量も増やしてくれますから、素人に毛が生えた程度の起業家としては天にも昇る思いです。この手口で、まんまんと詐欺に引っ掛かってしまうケースが少なくありません。後から、何であんなに注文が多かったのか、おかしいと思っても全ては後の祭りです。
問題は、この種の犯罪に出会った後のことです。下手をしたらこの時点で、資金がショートして倒産する会社さえあります。何とか、資金をかき集めて再度事業を展開するわけですが、同時に詐欺事件の被害額も戻してもらいたいと思うのは人情です。上手い具合に犯人が捕まり、裁判で有罪判決が出ても被害はほとんど戻りません。
わが国では勝訴しても、判決を強制的に執行してくれる役所がありません。 加害者が、損害を賠償できないと言い通すと、被害者に残された手は20万円支払っての強制執行だけです。この場合も、加害者側が資金を隠したり、他に移したりしていると、空振りになることが多いようです。
詐欺商法が、何度も何度も繰り返される背景には、わが国の法制度が有罪者に対して甘い対応があります。こんな馬鹿げた落とし穴に落ちないためにも、「君子危うきに近寄らず」。法律で正しいから、ビジネスにとっても正しいわけでは決してありません。まずは、相手をよく見て判断するしかないです。
【一言】
わたしがこれまで起業時の失敗で最悪と思えるのは、開業資金を持って歩いていて無くしたケースです。約1千5百万円です。それまで、そんな高額の現金を持ち歩いたことがないため、持ち慣れない鞄に入れておいて、鞄ごと忘れたといいます。その後、時間をかけて起業は成功しましたが、絶対に資金は持ち歩かないよう注意しましょう。
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