電力会社の省エネ無料診断は起業を壊す - 独立開業全般 - 専門家プロファイル

中山おさひろ
東京都
起業コンサルタント

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対象:独立開業

尾崎 友俐
尾崎 友俐
(経営コンサルタント)

閲覧数順 2024年04月25日更新

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電力会社の省エネ無料診断は起業を壊す

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 日本経済新聞の記事によりますと、東京電力は今年度中に工場向け省エネ診断を無償で始めるようです。同じサービスに関しては、中部電力や九州電力でも、企業向け節電策の助言を部署を設けて実施すると言っています。このようなサービスを行う背景には、電力会社からの顧客離れを食い止める狙いがあるようです。

 将来の電力自由化による顧客の奪い合いに備えて、いち早く対応するためと日経には書いています。わたしなどは、電力会社が電力消費を減らすことに協力するのは、自殺行為のように思ってしまいます。省エネ診断に関しましては、電力各社は相当以前から行っていましたが、やはりどこか不可解な感じがします。

 電力会社が、省エネ診断を無料で行って工場や事業所の消費電力量を減らそうとするのは、世界で最も高い電力料金をカモフラージュするため、このような診断をサービスにする必要があると疑っています。福島原発事故が発生するずっと以前から、わが国の電力料金はダントツで世界一が続いていました。

 原発事故以後、東電は2012年に値上げを行い、今後も黒字経営をするためには再度値上げする必要があります。事故で発生する賠償金はうなぎ上りで増えそうですが、その裏で電力料金も天井知らずに引き上げられそうです。省エネ診断で個別の企業の料金引き下げより、全体の料金を下げることを考えるべきです。

 また電力会社がサービスと称する省エネ診断を行うことによって、民間で省エネビジネスを展開しようとする会社がほとんど育ちません。欧米では、省エネコンサルタントは、ファイナンシャルプランナーと並んで、個人や企業がよく利用するコンサルタントビジネスです。起業しやすいはずの業種ですが、わが国では電力会社の壁があると言われています。

 世界一高い電力料金を徴集しておいて、コンサルタントによる起業の芽を潰すのは納得がいきません。現在は、大手重電メーカーやベンチャー企業も、企業向け省エネコンサルタントの事業展開を行っています。事実上の国営企業が、民業の圧迫や個人の起業を妨げているこの現実は問題です。

【一言】
 家庭向けファイナンシャルプランを銀行が行うのは、高い手数料と低いお客さん向け金利を維持するための小道具のようなものです。わが国では、個人向けコンサルタントビジネスが普及しませんが、大半のビジネスを大手が無料サービスとして行っているからです。表向き無料とは言え、実際は料金の中にそのサービス料も含まれていて、法外な料金を取られていることも少なくありません。

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