容子は小学校の入学式の朝、最愛の娘を不慮の事故でなくしてしまう。
自分を責め思い詰めた容子はある出来事を境に、その日から不思議なことを言い始める。
「加奈子はここにいる。」
娘との再会を願う一途な思いが起こした行動がやがて奇跡を起こす。
幼い娘を亡くした夫婦役に広末涼子と稲垣吾郎。
容子が加奈子の生まれ変わりだと信じる子供を宿す高校生のシングルマザー役に福田麻由子。
登場する人たちすべての接点となる古本屋の店主役に江波杏子。
言葉と言葉の合間の「言葉のない時間」での目線や表情がなんともいえず引き込まれてしまいます。
「こんな話しは現実にはないだろう。でもあったら、それもいいよね。」そんなことを感じさせる作品を俳優陣によって見事に作り出されています。
この映画の鍵となっていたのが「桜、あるいは桜の花びら」「犬」「知恵の輪」。
特に桜について、監督は「実際に咲く桜の下で撮影したい。」と拘ったそうです。
桜の花が咲き始めた時期から散り終わった時期までとごく短い期間のうちに栃木県足利市でロケをおこないました。
また、時間軸を年忌法要で追う構成となっているのも特徴でした。
その中にはギリシャ神話「オルフェと竪琴」のモチーフも取り入れており、仏教の年忌法要や輪廻転生といった東洋的な考えにギリシャ神話という西洋の世界観を違和感なく混ぜ合わされています。
音楽は佐村河内守(さむらごうち わたる)が担当。
今年のクラシック音楽界で一番の話題の作曲家です。
この映画では「弦楽四重奏曲『桜、ふたたびの加奈子』」、「無伴奏ヴァイオリンのためのシャコンヌ」が使われています。
演奏は東京交響楽団のソロ・コンサートマスターを務める大谷康子と、大谷康子弦楽四重奏団が演奏。
佐村河内さんと栗山実監督とはこの映画の制作以前よりつながりがあり、この映画を作るにあたっても多くのエピソードがありました。
後日改めて触れたいと思いますが、監督の並々ならぬ拘りが音楽にも現れていました。
親は子が成長する姿や成長した姿にどれだけの喜びを感じているか、子を思う親の愛の深さ。
ですが親が気づかない「親が思っている以上に子が親を思う一途さ」をこの作品を見ていただけば感じていただけると思います。
ラストは必見!
このコラムの執筆専門家
- 成澤 利幸
- (長野県 / 音楽家、打楽器奏者)
- 成澤打楽器音楽教室
音楽はみんなのもの
楽器の演奏は専門家からのちょっとしたアドバイスによりスムーズに上達したり音楽の奥深さに触れることがあります。ドラムやマリンバ、いろいろな打楽器のレッスンを通して皆さんのお力になれればと思います。
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