マイナンバー法のスケジュールは、2016年1月から、番号情報の入った顔写真付きICチップ搭載の個人情報カードが、市町村を通して希望者に配布がはじまります。この時点では、年金の個人照会や、災害時の要援護者リストに個人番号が利用される程度です。
17年1月からは、行政機関が個人番号を使って個人情報のやり取りをするシステムの稼動が始まります。ここから、個人専用のネットサイト「マイ・ポータル」で自分の所得や年金情報を確認でき、税金の確定申告を添付資料なしで行うことができます。
最初の段階では、社会保険や税などの行政分野に使用は限られています。次で18年10月頃をめどに、医療分野や民間分野での利用拡大を検討することになっています。今の段階では、国民に格段利便性が高まるようなことはありません。
あくまでも、行政の側の利便性が良くなることが目的で、国民にとっては、児童扶養手当や介護保険給付などの手続きで、所得証明などの書類を添付することなく提出できるくらい。これまで、便利になると喧伝してきましたが、あくまでも行政だけが便利になるいつもの手です。
反対に、他人のカードや番号をつかう、なりすましが多発する心配はあります。システム構築することによる費用負担も国民の背に圧し掛かります。また、全国で役人の不祥事が多発していますが、マイナンバー導入は役所内と外部を巻き込んで不正が起こりそうです。
検察や警察が瞬時に、個人情報を入手できるのも怖い話です。常に弱みを握られているようで、厭な気分が国中に蔓延しそうな気もします。官僚には、ますます権力の集中が進み、司法官僚と行政官僚が手を結ぶと、政治家も弱みを捕まれそうです。
ビジネスでは、大和證券がマイナンバーの民間活用によって、最大3兆円市場が生まれるといっています。システム構築やカード製造、読み取り装置が中心でしょうが、末端の小企業の仕事にも影響が広がる可能性があります。わたしは、ファイナンシャル・プランナーの仕事が増えるように思います。怖さと期待が入り混じるマイナンバーです。
【一言】
本来なら、従軍慰安婦の話より、マイナンバー運用を巡って論争が必要なのに、本当にアッという間に法案が成立しました。多分、導入された後から、問題が続出するような気配を感じています。多額の資金が投入されるのに、そのために役人の定員が減るとか、予算が削られるといった成果がまったく論じられていません。まともな組織論が、この国では難しくなっています。
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