手形のパクリ - 民事事件 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
弁護士
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手形のパクリ

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債務整理
〈手形のパクリ〉Q 私の会社は、先日、大口取引先が倒産して、当社の信用状態が悪くなってしまい、取引銀行からは「もう融資をすることができません。」と言われました。そこへ、その大口取引先と取引をしていたという会社から、当社へ電話があり、色々と情報交換をしているうちに親しく相談にのってもらいました。当社が「融資を受けることができない」と話すと、先方は「当社は、手形割引の枠があるから、うちの銀行で、あなたの会社の手形を割ってあげよう。」と言われました。当社の手形を振り出して、その会社に割ってもらい、当社の口座へ入金されました。その数カ月後に、当社が先方の会社に手形決済資金を入金して、決済をします。最初のうちは応急措置のつもりでしたが、そのうち、このように当社の手形を割って貰わないと、資金繰りに支障をきたすようになりました。数回やっているうちは、きちんと入金されていたので、「これで大丈夫だ」と思い、先方の会社に当社の手形を渡しました。ところが、約束の期日に当社へ振り込みがなく、先方の会社とは連絡がつかなくなってしまいました。そのうちに、手形の裏書きを受けた第三者の人から、「おたくの会社の手形を期日に取立てに回すから、きちんと決済してくれよ」という連絡がありました。当社の手形の割引代金をもらっていないのに、決済資金がある筈もありません。一体、どうしたらよいでしょうか。

A、ご質問のケースは、手形の「パクリ屋」です。

最初の数回はきちんと、あなたの会社の手形を現金化してあげて、安心させ、最後に大きな金額の手形を振り出させて、所在不明になるケースが多いようです。
そして、「善意の第三者」と称する手形所持人が現れて、支払いを迫ります。
手形が決済できない場合には、手形所持人が、「手形をジャンプしてやるから」などと甘言を弄して、あなたの会社の資産を取ろうとします。
手形の盗難などとは違い、手形を詐取された場合には、警察もなかなか捜査に動いてくれません。
手形の不渡りを回避するためには、手形の支払期日(満期)に、取引先の銀行を通じて、決済するか、もしくは異議申立提供金を預託して支払いを拒絶するか、2通りの方法しかありません。
手形の支払期日に支払いができないと「不渡り」になります。最初の不渡りから6か月以内に2回目の不渡りを出すと、銀行取引停止処分を受けます。
手形振出人が異議申立提供金を預託した場合には、手形所持人は、手形訴訟を提訴してきます。手形訴訟は、手形所持人が手形を所持している事実だけで、原則として勝訴でき、「手形判決」を出してもらえる仕組みになっています。手形訴訟で敗訴した場合には、原則として強制執行されます。手形振出人から異議申し立てをして、異議訴訟へ移行します。手形判決による強制執行を停止させるためには、手形金額の50%以上の保証金を積まなければなりません。異議申立提供金と、強制執行停止のための保証金とは別個ですから、二重にお金が必要になるわけです。
このように、手形というのは、怖いものですから、安易な資金繰りの手段としないようにしましょう。