- 山本 憲宏
- 山本公認会計士事務所 所長
- 滋賀県
- 公認会計士
対象:会計・経理
今日から「中小企業会計指針」の解説にはいっていきたいと思います。
まずは、総論からです。
総論は、「目的」「対象」「本指針の作成に当たっての方針」「本指針の記載範囲及び適用に当たっての留意事項」から構成されています。
「目的」は、1.中小企業の会計-計算書類の作成義務、2.本指針の作成の経緯、3.本指針の目的という3つの項目から構成されています。
会社において、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行により従い、適時に正確な会計帳簿を作成するとともに、会社計算規則の定めるところにより計算書類を作成することが、会社法により義務づけられています。一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行のひとつとして、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準があります。
中小企業が適用することができる「公正なる会計慣行」が十分に明確になっていなかったとの指摘もありました。そこで、資金調達の多様化や取引先の拡大も見据えて会計の質の向上を図る取組を促進するため、平成14年から平成15年にかけて「中小企業の会計に関する研究報告書」(中小企業庁)が公表され、また、「中小企業会社会計基準」(日本税理士連合会)、「中小会社の会計のあり方に関する研究」(日本公認会計士協会)などが公表されてきました。その報告を統合する形で、平成17年8月に「中小企業の会計に関する指針」(中小会計指針)が公表されました。
そして、平成18年4月の会社法等の施行に伴い、「会計参与」が取締役と共同して計算書類を作成するにあたって拠るべき会計基準としての意義づけも、この「中小会計指針」にはもたらされました。
中小会計指針は、中小企業が、計算書類の作成に当たり、拠ることが望ましい会計処理や注記等を示すものです。
この中小企業会計指針は、中小企業の特性を考慮した簡便的な方法が設けられているともいえますが、大多数の中小企業に適用するには高度すぎた内容が多く含まれていたため、実際に中小企業に適用されていることがごくわずかでもあったことから、平成24年2月に中小企業の実態に即した会計処理をまとめた「中小企業の会計に関する基本要領」(中小会計要領)が公表されました。
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