本日は、たまに質問を受ける借地法の「朽廃」に関してご説明させて頂きます。
まず、「朽廃(きゅうはい)」とは、建物が朽ち使用に耐えれない状態の事を指します。
ご承知の方も多いとは思いますが、借地法第2条には、契約期間満了前であっても、建物が朽廃した時は借地権は消滅する旨が記載されております。
借地法第2条
「~中略~但シ建物カ此ノ期間満了前朽廃シタルトキハ借地権ハ之ニ因リテ消滅ス」
では、実際に朽廃とは、「建物がどの程度の状態を指すのか?」ここがわかりづらい点の一つとなります。
まず、指標となるのが裁判所の判例です。
裁判所では、「朽廃」の範囲をかなり狭く解釈する傾向があります。
具体的には、
・自然の推移により、建物の社会的・経済的価値が失われた場合(火事等は含まれません。)
・基礎・柱・壁が腐食し、いつ倒れるかわからない危険な状態。
・建物内部への人の出入りに危険を感じさせる場合。
などが、朽廃の定義となり、裁判所では上記や様々な状況を考慮し総合的に判断します。
よって、例え築年数がかなり古い場合でも、人が現に居住している場合などには、なかなか認められにくいと言えます。
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