犬の早朝吠えに悩んでいます

朝の早い時間からの吠えは飼い主さんの神経が参ってしまいますね。ワンちゃんの体内時計は素晴らしいです。その時間になると人間の都合に関係なく吠え始めるワンちゃんはかなりいます。ワンちゃんは人間と違って群れで生活をする動物です。その群れの中の一番強いメンバーがリーダーとして群れを守って従えていきます。虎の巻さんのJRTくんは、群れ（ご家庭）のリーダーになっているようです。リーダーは常に自分の強さをアピール続けることにより、他のメンバーから尊敬をされてリーダーとしての地位を守り続けます。この吠えというのも、自分の強さのアピールです。運動していないから、ずっとお留守番だから、というのはあまり関係はありません。

吠えと一言で言ってもいくつか種類があります。まず一つ目は、ドアのチャイムや外の物音に吠える吠え。これは、群れを外敵から守ろうとして外の敵に向かって吠えます。もう一つは、群れのメンバーに向かって吠えます。この場合の吠えは、自分の命令に答えさせようとするいわゆる要求吠えです。虎の巻さんのJRTくんはこの2番目でしょうね。きっと、この朝吠え以外にも吠えたり何か虎の巻さんが困った事をしているのではないでしょうか。要求や命令は群れの上のメンバーが下のメンバーにする行為です。この吠えに答えてしまえば、虎の巻さんが「はい、私はあなたよりも下です。」というメッセージになります。しかし、答えなければおっしゃってる通り朝早く何時間も吠えてしまい、きっとまたご近所から何か言われるでしょう。

この問題行動をやめさせると言うよりも、この行動をして自分の強さをアピールしようとするリーダーシップを虎の巻さんが取り戻して、JRTくんに「私があなたよりも強いからあなたは何も心配しなくていいの。」と言って頂く事が一番で、これしかありません。しかし、今の現状を何とかしなければいけないですね。JRTくんはキャリーケースに入る事はできますか？ワンちゃんは寝る時は穴倉のような暗くて狭い所で寝ていたので、キャリーケースは大好きです。しかし、入りたがらないワンちゃんは多いです。その理由はひとつだけ。「僕がリーダーだから、こんな所に閉じ込めれば群れが襲われた時にお前たちを僕が守ることができないじゃないか。だから出せ！」です。ただ、今でもキャリーに入る事ができれば、夜はここで寝かせます。そして、虎の巻さんが寝ていらっしゃる横にキャリーを置きます。もし、朝早くキャリーの中から吠えれば（吠えるはずですが）、キャリーをバンバン叩いたり、ごろごろと転がしたりして吠えればバンバン、吠えなければ何も起こらない、とワンちゃんに思わせます。キャリーをバンバンしたりごろごろすることによって、キャリーを嫌いになる事は絶対にありません。吠えても絶対に出さない、吠えればバンバンされるしゴロゴロされると思うとワンちゃんも吠え損となるので、やめると思います。

ただ、かなり強めのワンちゃんのようなので虎の巻さんがリーダーシップを取り戻して、ワンちゃんが今しているお仕事に対して「あなたはそんなお仕事する必要ないのよ。私があなたを守ってあげるから。」という態度を取ってあげましょう。それがワンちゃんの一番の幸せのはずです。ワンちゃんの幸せのため、そして虎の巻さんの平穏な生活のために、強いリーダーになってあげて下さい。

日が昇るのが早くなると、虎の巻さんのように早朝から吠えるというご相談が必ずあります。行動学の教科書などには、吠えても無視するようにと書かれていますが、現実的には近所からの苦情などがあって、無視し続けることは難しいのがほとんどです。３０分、1時間無視し続けていても最後に無視できなくなると、吠えはさらにひどくなります。無視できなくなるなら最初からあきらめた方が良いでしょう。

私がお勧めしているのは、クレートで寝かせて、カバーを掛けて、自分のベッドの横においてみてください。朝早く吠え始めたら、優しく声をかけてみてください。少し吠えたら、すぐに吠えを止められる状況を作ってみてください。

虎の巻さんは、朝晩運動させたり、努力させていて、よく頑張っていらっしゃいますね。ボーダーコリーやJRTのような多くの運動量を必要とする犬種を飼っている方は、運動をさせることで犬を疲れさせようとする方が多いようですが、それも忙しい方であればなかなか継続するのが難しい場合が多くあります。そういう方にアドバイスするのは、運動させて疲れさせようとしてもだんだんと犬の方に体力がついてくるのでさらに多くの運動量が必要になってきます。それよりも、頭を使って疲れさせるようにしてみてください。ドッグフードをおもちゃの中に詰めて、時間をかけて食べさせるとか、探させるとか、ワンちゃんには一人遊びが出来るように工夫をしてみてください。

疲れさせて吠えさせないのではなく、頭を使ってワンちゃんを満足させる方法を考えてみましょう。