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対象:住宅設計・構造

野平 史彦

野平 史彦
建築家

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集成材の接着剤について

2008/08/14 11:53
(
5.0
)

ちょっと、しばらく留守にしておりましたので、回答させて頂くのが遅くなってしまいました。
ご質問を見ると、とやおたさんはきっと何かの研究者なのでしょうね?
私達設計者というのは、建築をトータルに見て最良のバランスで目的のものを作り上げることを生業としているので、建築に関わる諸事について広く浅く知っているにすぎないのです。
ですから、これほどマニアックな質問をされると、なかなか辛いものがあります(笑)
ですが、手持ちの資料を片手に、私共の分かる範囲内で回答させて頂きます。
不見識な部分はご容赦下さい。

現在、構造用集成材に用いられている接着剤は、主にレゾルシノール樹脂接着剤と水性高分子イソシアネート系接着剤です。
レゾルシノールは集成材開発の初期段階(1940年代)から使用されているホルムアルデヒド系の接着剤で、木材接着剤の中で最も耐久性に優れた接着剤と言われています。
イソシアネートは1970年代にホルムアルデヒドを含まない接着剤として開発されたもので、JISのブロック剪断試験ではレゾルシノールと同等の初期接着性能を有することが確認されています。
初期接着性能は構造用集成材が実際に使用される環境で保持されなければなりませんが、とやおたさんが気になさっている様に、水は集成材の接着性能に最も影響を与える因子です。
それで、構造用集成材のJISでは、耐水性を調べるために浸せき剥離試験と煮沸剥離試験、または減圧加圧試験を実施する事が規定されています。
レゾルシノール、イソシアネート共に、この試験結果において強度低下や剥離は認められず、レゾルシノールについては、10年間の屋外暴露試験においても問題がなかった、と林産試験場の報告書の中で述べられています。
但し、イソシアネートの10年間の暴露試験データというのはまだ無い様です。
(追記します)

補足

これは林産試験場の試験官がその報告書の中で推論していることですが、イソシアネートはわずかな水分を吸収する事で柔らかくなる性質があり、イソシアネートを使った合板については、1年間の暴露試験で接着強度が低下した、というデータがあることから、水性高分子イソシアネート系接着剤を使った構造用集成材は、湿潤環境での使用には多少難があるだろう、としています。

以上で確認できることは、構造用集成材に主に用いられる接着剤のうち、レゾルシノール樹脂接着剤にはホルムアルデヒドの問題があり、水性高分子イソシアネート系接着剤には耐水性の問題があリそうだ、ということです。

その他、ご指摘の、煮沸を複数回繰り返す、という実験データについては、私の手元にもありませんし、とやおたさんもお調べになったと思いますが、公開されている学術論文を調べてみても見当たりません。
従って、日本集成材工業協同組合にもそうしたJISにない試験データがあるのかないのかは分かりません。

私見として、とやおたさんは「壁の中で使用する際に、万が一結露などが起こり湿潤状態を繰り返した場合のことを考えると〜」ということで、煮沸を複数回繰り返した時のデータが気になる、とおっしゃっていますが、壁の中で結露を起こす、ということは集成材のラミナが剥離しようがしまいが、どっちにしろ構造体が腐リ、強度が失われると同時に、カビやダニが発生し、シックハウスになる、ということですから、壁内結露を起こさない仕様をきちんとつくる事の方が基本ではないかと思います。

ちなみに、私は構造用集成材も無垢材も必要に応じてどちらも使います。
それは、構造体をそんな過酷な環境にさらすような家づくりをしていないからです。
部分にこだわりすぎると全体が見えなくなります。
トータルバランスを欠いた家は、決していい家にはならない、ということもどうぞご承知置き下さい。

評価・お礼

とやおた さん

非常に分かりやすい説明ありがとうございます。確かに私は住宅とは無関係ですが、物理系の研究に従事しているものです。

ご指摘のように、壁体内結露対策は難しい問題ですよね。最初は気密シートを正しく施工すれば結露は大丈夫かと思っていましたが、調べてみると、それは北欧、北米や北海道など夏場の湿度が低い地域でのことで、夏場が高温多湿の地域では逆転結露の問題も気にしないといけないみたいですね。夏冬両方で結露を起こさないためには、壁の内側の気密と透湿性、外側の気密と透湿性の総合的なバランス、それに加えて、壁体内の通気をどうするかといった要素もあるみたいですね。

基本としては結露を起こさない住宅というのが第一だとは認識していますが、論文を見ていると、タイベックでも一旦結露水ができてしまうと湿気に対する大きな抵抗になってしまうようなので、結露が起こってしまったあとのことも考えてしまいます。

柱に桧の集成材を使ったHMでの住宅検討をしていたのですが、柱が集成材と言うことがどうしても気になり、現状のデータを見る限りでは踏み切れないでいます。そのHMの仕様では、夏場の結露と万一の雨漏りなどが気になります。その他のHMを見ても、大手と呼ばれるところでは手放しに任せられる仕様のところは皆無です。大手HMと呼ばれるところは思っていた以上に耐久性に関しては楽観視しているようなので、HMに任せっきりということも難しいのかと考え出したところです。

金銭的なこともありますが、一度建てた家で家族と共に思い出を積み重ねながら一生暮らしていきたい思いが強いので、つい他の人よりも耐久性に関しては敏感になってしまいます。

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この回答の相談

集成材の剥離試験

住宅・不動産 住宅設計・構造 2008/08/11 16:39

家を建てようと思っていますが、家の建材に集成材を使うべきかどうか悩んでいます。できれば、長く住みたい家を考えているので、家の耐久性には特に感心があります。

そこで疑問なのですが、住宅の建材には集成材… [続きを読む]

とやおたさん (茨城県/37歳/男性)

このQ&Aの回答

 集成材について 横山 彰人(建築家) 2008/08/13 15:29
強度と耐久性は別物 鈴木 克彦(建築家) 2008/08/19 15:48

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