- 守屋 啓吾
- 医療法人社団東風会
- 歯科医師
対象:矯正・審美歯科
- 東海林 貴大
- (歯科医師)
『歯の先端の色が、薄くなっているような気がします。クリーム色のエナメル質?がなくなり、白というよりも透明っぽくなっています。思い当たるふしがないのですが、原因は何だと考えられますか』
今日出たラジオに寄せられた質問だ。
おそらく酸蝕症だろう。
化学工場など酸を扱う職場や逆行性胃腸炎やつわり、過食症など病的な要因を除けば食べ物、飲み物が原因であることが多い。
PHが5.5以下の酸性の飲み物、食べ物を食べたり飲んだりすると「歯が溶ける」ことはご存じだろうか?虫歯ではなくて文字通り歯が溶けていくのだ。酸性の状態では歯からカルシウムが溶け出していく。これを「脱灰」という。唾液には「重炭酸塩」というものが含まれていてすみやかにこれを中性に戻してカルシウムが歯に戻って行く。これを「再石灰化」と呼ぶ。これを繰り返している限り虫歯にはならない。
wikipediaで酸蝕症の予防の項を見るとこう書かれている。
「東京医科歯科大学の調査によると市販の飲料120種のPH値を測定したところ、実に73%の製品がPH5.5以下であった。調味料やかんきつ類の調査でも多くがエナメル質を溶かすPH値を示した。例としてコーラ飲料はPH2.2で胃酸の数値(PH1~2)に近い(レモンのPHは2.1)。栄養ドリンクは2.5、黒酢飲料は3.1、スポーツドリンクは3.5であった。[2]原因となるものの摂取量の減少のほか、原因となる飲料・食品などを長時間口の中に入れず、摂取後は水やお茶ですすぎ洗いし、歯磨きを励行する。」
スポーツドリンクはスポーツの試合やマラソンなどでも継続的に取るのでかなり危険だと言えよう。私は少しぐらいの運動なら水分の補給は水で十分でスポーツドリンクを飲むのは弊害の方が大きいように思う。糖分や電解質を補いたい時はタブレットなどを使った方がよいだろう。
意外なのはお酒のPHもかなり酸性であるということ。私の大好きなビールもPH4.6!なかでもワインは3・2ということでワインを毎日ちびちび長い時間かけて飲む人は酸蝕症になる可能性がある。ただこの場合はつまみを取るかどうかでずいぶん違ってくる。つまみを取ることによって唾液が出るので唾液の緩衝能が働きやすくなる。そういう意味でもお酒を飲む時は何か食べた方がよさそうだ。
データから見るとコーラは最悪。ダイエットコーラもよくない。たまーに飲むのはいいが日常的に飲むと歯には相当悪い。あと意外なのはグレープフルーツを毎日食べるとか、栄養ドリンクをガンガン飲むとかいうのも歯をどんどん溶かしていく。しかも糖質がかなり入っているので入っている栄養素よりも害の方が大きい。
一生自分の歯で美味しく食べて健康に過ごすには飲み物にも気をつけよう
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