- 清水 健太郎
- ライフクリエイション 代表
- 埼玉県
- キャリアカウンセラー
対象:転職・就職
- 新垣 覚
- (転職コンサルタント)
- 新垣 覚
- (転職コンサルタント)
現在、大学にはキャリアセンターの職員とは別に非常勤でキャリアカウンセラーが常駐しているケースも多いと思う。しかし大学側もどんなキャリアカウンセラーを採用すべきか、はたまたキャリアカウンセラーを置くことが必要なのかどうか、どのような目的でキャリアカウンセラーを置くのかといったことが定かでないケースもあるようだ。
キャリアセンターの職員も他の業務が忙しく学生と中々向き合えないケースもあり、取り敢えず学生の話を聴いてくれれば良いという程度に考えている場合もあるだろう。しかし、そうではなく学生の満足度を上げたい、学生が納得する内定を得られる役に立ってほしい、学生の内定率を上げたいというような目的を考えているキャリアセンターも当然あり、そのためにキャリアカウンセラーに一役買ってほしいと望んでいる場合もあると思う。
そのように質の高いカウンセラーを求めようとしたときに、どうやってコンタクトすれば良いのか方法を知らない状況もあるだろう。また、そういったカウンセラーを雇えたとしても学生と関わってどんなメリットを生み出してくれるのか定かでないと思いながら雇っている大学も多くあるように思う。今日はあえて、キャリアカウンセラーの善し悪しとは何なのか、どうすれば採用できるのかを考えてみたい。
カウンセリングが何かを勉強されたことの無い方にとって、キャリアカウンセラーが学生とどう関わっているのか知る手段は無いに等しい。カウンセリング(面談)の場は守秘義務の下、当事者にしかわからないやり取りがされているからだ。しかし、カウンセリングを受けた後の学生アンケートなどから満足度や意見を募ることは出来る。残念ながらそのような調査からしかカウンセラーと学生のやり取りを推し量ることが出来ないのだ。そのことがカウンセラーの価値を中々上げられず、さらに雇う大学側にもキャリアカウンセラーに対する疑心暗鬼のようなものが芽生え、十派ひとからげになってしまう要因であると日々感じている。
私が考えるキャリアカウンセラーのおおまかな力量ステップは以下のようなものだ。(もちろんこれが全てではないが)1STが最低限すべきことで、3RDまで出来るキャリアカウンセラーは中々存在しない。注釈しておくが3RDまで出来るということは当然1STも2NDも出来るということだ。
<1ST> 学生の話を傾聴出来、関係構築がスムーズに出来る
<2ND> 学生の課題を捉え、何をすべきか学生が納得できる提案が出来る
<3RD> 学生の話を引き出しながら、物の見方や行動に変化を起こすことが出来る
残念ながら世の中のカウンセリングに対する認識は<1ST>に留まることが多く、これまた残念ながらキャリアカウンセラーの資格を持つ物の中にも<1ST>の力量しか発揮できない人たちも多く存在する。分かりやすい例えを言えば医者や弁護士でも皆同じではなく、力量には差があるということだ。ただキャリアカウンセラーの善し悪しを判断する基準が曖昧すぎるのだ。
ある大学のキャリアセンターの方によれば「最近、キャリアカウンンセラーに対する学生の評判がいまいちなんだよね。話は聴いてくれるけど、どうすればいいか具体的な話が聴けないらしい」ということだ。実は私もたまたま今日、棒公共機関でのカウンセリングで「大学のキャリアセンターの相談は褒めてはくれるけど、本当に改善ポイントが無いのか手ごたえが無いのでここにきました。」という学生に出会った。確かにカウンセラーとしてクライアントの話を傾聴することは基本中の基本。もっと言えば傾聴力そのものにも力量の差はある。傾聴の仕方によってクライアントの気づきも大きく変化する。
しかし大切なのは最終的にクライアント(学生)が自ら気づき、認識を変え、行動を変えてゆくことにいかにつなげるかであると思う。全てのクライアントに対して100%そう出来るかどうかは別として、意識・行動を変える方法を知り、カウンセリングで実行できるキャリアカウンセラーと、傾聴で止まってしまうカウンセラーとでは、学生の満足度はもちろん、その後の進路にも差がつく結果になるのだ。
では、ここまで出来るキャリアカウンセラーをどうやって探し出す(出会う)か、というところに触れてみよう。現状では人材派遣会社を通し比較的安価な自給で採用するケースが多いようだ。また勤務日数は週5日が多く、少なくとも週3日という案件がほとんどだ。これではハッキリ言って、それなりのキャリアカウンセラーしか集まらないことになると思う。<3RD>まで出来るキャリアカウンセラーを求め学生の満足度を上げ、キャリアセンターの価値をあげようと思うなら、人材紹介会社などを通さずに直接募集をかけるべきだと思う。現在の相場よりも1.5倍~2倍の時給は最低必要だと思う。一見、高いコストがかかるように思えるが直接雇用をすれば人材紹介会社などを通すよりもコストパフォーマンスは上がる可能性もある。また、出来れば他の大学でのカウンセリング業務やキャリア教育に関わる授業などの仕事を兼務する人材を探すことも重要だ。週5日でうちの大学だけに来てほしいという希望もあるとは思うが、他大学や他施設での業務経験がそのキャリアカウンセラーのスキルや知見を上げていることが多いからだ。また、学生に対する向き合い方も偏りなく出来ることもメリットだ。
そういう意味でも週の日数も少なくとも2日からOKを目途にしてシフトを組んで対応するのが得策のように感じる。例えば3人カウンセラーでそれぞれに違う個性や強みを持ったカウンセラーで構成できれば色々な学生や学部の特性にも対応できるということになる。また、フリーのキャリアカウンセラーの現状は私自身もそうなのだが「週2日なら働けるのに」という状況がかなり多く発生している。キャリアセンターの立場になれば毎日同じキャリアカウンセラーに来てもらったほうが学生の顔も覚えてもらいやすい、などのメリットはあるだろう。だがお互いの歩み寄りが無ければ中々良い仕組みは作れないのではないか。キャリアセンターとしても学生に役立つキャリアカウンセラーを採用するためには、勤務のシステムや時給のアップを是非ご一考願いたいところだ。
清水健太郎
公式ホームページ http://www.shimiken-sensei.com
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