- 高津 嘉邦
- 代表取締役
- 兵庫県
- 保険アドバイザー
対象:家計・ライフプラン
先日、お客様からご指摘をいただいた、という報告を受けました。ご指摘内容は以下のようなものでした。
「結局、保険業界は10年前と何も変わっていないのですね。提案の方法や内容、接客の具体的な進め方、予算に対する考え方。何も変わっていないことに、正直がっかりです。」
一瞬、耳の痛い、違うそんなはずはない、と言いたくなる内容でした。しかし、冷静に現実を見つめると、残念ながらそのとおりである、と言わざるを得ないお話であり、むしろ、それに気づかせていただくことができた分、実は、もの凄く良いアドバイスであったのです。
この美楽においても何度も発信してきたことではありますが、この10年だけを見ても、多くの出来事が起こり、時代は大きく変化して参りました。
丁度、私が保険を生業として社会に出たのが10年前となります。この10年、保険業界でもたくさんの新商品が発売されてきました。しかし、新商品といっても、時代に合わせて保険の形を新しいものに変えている、というものはありません。ほとんどのものが、プラスアルファの機能を追加したり、保険料が以前に比べて安くなったとか、その程度の、実は大した変化をしていないものです。
提案方法として大きな変化はなく、私が初めて保険というものに触れたものと、ほとんど同じ形式の提案話法によって、保険が販売されています。それ以外の多くの部分でも、10年と言わず、おそらく20年以上、保険業界にとって大きな変革は無く、同じような保険の販売を行なってきているのではないでしょうか?
ただ、皆さんもご存知のとおりこの10年は、世界的にも、日本的にもたくさんのことがありました。既に10年以上経過していることに驚きを覚えることもありますが、アメリカの9.11同時多発テロは、各国の政治や経済に大きなダメージを残しました。また、その後も、2008年リーマンショック、2011年ギリシャの財政破綻があり、世界経済はより不確実な方向へと傾いていきます。また、日本では昨年、東日本大震災という、歴史上稀に見る天災も起こり、今もなお日本人の生活にその大きな爪痕を残しています。
そういった、多くの経済的な打撃によって、日本では年々平均所得額も減っています。また、大学生の新卒採用も「超」がつくくらいの氷河期になっています。そして、多くの老舗企業の倒産も相次いでいます。挙げればきりがない程の影響の大きさです。
急激で大幅な社会環境の変化に伴い、日本は高度経済成長期と比較して、退職金を導入する企業も減りました。また、少子化や高齢化に伴い、国民年金の構造的な問題が露呈してきていると共に、そもそも、国民年金を支払わない国民も増えてきており、年金の問題は年々深刻化、待ったなしの状態まできています。所得減少に加え、長く働いても昇給しないという状況や、共働きの増加によって、現在の生活を圧迫するから、という理由で、子供を作らない家庭も増えてきました。日本人の結婚観も変化してきていて、未婚者が増え、晩婚化も加速している状況です。
日本の高度経済成長期と比較して、これだけ時代が変化してきているにもかかわらず、保険に関しての価値観が変わっていないのは、明らかにおかしいことです。それだけ、問題意識を持てていないということにもなりますし、今まで甘えてきた、ということになるでしょう。
これからも、更なる激動の時代が予測されている中で、保険のあり方というものを、今一度考える必要があると思います。こういった状況を踏まえ、次回のコラムでは、私なりの「あるべき保険の姿」について考察していきます。
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