会社の再建可能性を銀行が判断する際のポイントは? - 財務・資金調達全般 - 専門家プロファイル

近江 清秀
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会社の再建可能性を銀行が判断する際のポイントは?

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【銀行交渉のポイント編-15 会社の再建可能性を銀行が判断する際のポイントは?】

 信用金庫や地銀は、中小企業へ融資するかどうかの判断を行うに
当たって金融庁の検査マニュアルに従って判断を行います。

その検査マニュアルには、具体的な事例とともに銀行
(信用金庫・地銀)が融資するかどうかを判断したポイントと、
その判断基準の適否について解説が記載されています。
この【銀行交渉のポイント編では】27パターンの事例を紹介します。

 中小企業の経営者の皆様におかれましては、
御社の決算内容、銀行との交渉と比べながら読んでいただくと
わかりやすいと思います。

 以下の事例集は、すべて銀行(信用金庫・地銀)の立場から
書かれた内容なのでこの文中で債務者と表現されているのは、
一般の中小企業のことです。

【事例-15  会社の再建可能性を銀行が判断する際のポイントは? 】

【概況】
 債務者は、当行メイン先(シェア80%、与信額:平成13 年3 月
決算期 2,000百万円)。地場の土木建設業者である。

【業況】
 官庁工事主体(約70%)に取り組んでいるが、公共事業の低迷など
から受注高が減少し、売上(前期 2,000 百万円)は前期比横ばいと
なっている。当期利益は、バブル期に傾斜した株式投資の失敗による
借入負担もあり毎期わずかな黒字(毎期3 百万円程度)を計上している。

 ただし、当該株式等の含み損を加味すると実質債務超過額は多額
(800 百万円)なものとなっている。当行の貸出金は手貸、証貸とも
金利のみの支払いで期日一括返済を繰り返しているなど、元本返済
猶予状態である。

【自己査定】
 当行は、自己査定において、
1.金利は支払ってもらっていること、
2.投資株式は全て担保として徴求しており、今後、株式価格が好転
した銘柄から徐々に処分して回収を図る方針であること、
3.長年の取引先であり、当行メイン行であり今後も引き続き支援
方針であることから、要注意先(その他要注意先)としている。

【検証ポイント】
支援の意思と再建の可能性について

【解説】
1.一般的に、業況不振、財テク失敗などによる実質大幅債務超過
の状態や、実質的な元本の延滞状態に陥っている債務者は、経営難
の状態にあると考えられ、破綻懸念先の債務者区分に相当する場合
が多いと考えられる。

2.一方で、金融機関によっては本事例のように、業況が相当悪化
している中にあっても、メイン行ということや、長年の取引先で
あり金融支援を続けていく方針ということにより債務者区分を行って
いる場合がある。

 しかしながら、金融機関の支援の意思というものは、債務者の
実態的な財務内容や収益性、貸出条件及びその履行状況等をもとに
再建の可能性の有無を金融機関として検討した結果得られるもので
あって、支援の意思のみをもって債務者区分の判断を行うことは
適当ではないと考えられる。

3.したがって検査においては、金融機関側が債務者の再建の可能性
の有無をどのように捉えているのか確認する必要がある。

 特に、中小・零細企業等の債務者区分の判断に当たっては、債務者に
詳細な経営改善計画等を求めることは困難な点もあるが、債務者を
取り巻く厳しい経営環境を前提に、単に株価の好転のみに期待する
ことなく、有価証券の処理方針や企業再建の可能性について金融機関
がどのように債務者の実態を把握しているかについて十分確認する
必要がある。

 その際、重要となる点は、本業の収益力の見通しであり、そのため
には、現行の手持ち工事の状況、過去の実績に照らした今後の受注
見込等に基づく今後の収支見込を把握する必要がある。

 また、業況が相当悪化している場合、他の金融機関の貸出金の履行
状況についても確認する必要がある。

 上記のような検討の結果、今後の本業による収益見込や個人資産等
を総合的に勘案し、経営再建の可能性が高いと判断されるならば、
要注意先(その他要注意先)に相当する可能性が高いと考えられる。

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 今日のポイントは、、金融機関の支援の意思決定は何をポイントに
決定されるのか、という点です。債務者の実態的な財務内容や収益性、
貸出条件及びその履行状況等をもとに再建の可能性の有無を金融機関
として検討した結果意思決定されます。
 その際、重要となる点は、本業の収益力の見通しであり、そのためには、
現行の受注の状況、過去の実績に照らした今後の受注見込等に基づく
今後の収支見込を把握する必要があります。

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