- 人見 隆之
- ISOマネジメント研究所 所長
- ISOコンサルタント
対象:ISO・規格認証
- 人見 隆之
- (ISOコンサルタント)
- 人見 隆之
- (ISOコンサルタント)
先日、病院で検査結果を聞いたときのこと。
担当の医師は、検査データをのぞき込みばかりで、私の方にはほとんど向き合うことなく、
「問題はありません」とただ結果を伝えました。
こういう症状があるがどうなのか?と聞きましたが、「特に問題はない」と繰り返すだけでした。
対象は、検査結果にあるのではなく、私自身にあるはずなのですが、私のいうことよりも、
検査結果の方が重要なようでした。
ISOの現地審査の場面でも、似たようなことがあります。
審査員が文書をのぞき込むばかりで、審査の相手には、向き合わない審査です。目の前にある
実際がどうなっているかより、まず、目の前の文書がどうなっているかを確認する審査です。
事実は、文書にあると考え、文書主義の審査ともいえます。
実際に、ISOの審査は、このようなものであると思っている方も多くいます。
一方、文書中心の審査とは違って、審査員が実際をよく見てくれる、聞いてくれる審査があります。
審査対象は、向き合う相手にあり、あくまでも文書は補助的なものとする審査です。
日々どのようなことを行うのか、客先ではどのようなことを話すのか、社内ではどんな書類を作るのか、
相手の言葉から、事実を確認していく審査です。
実は、ISOでの審査の確認は、文書や記録のみで確認するのではなく、インタビュー相手のコメントや
現場での状況も確認記録となります。
たとえば、ISOの要求事項に、“確実にしなければいけない”とあれば、ミーティングで確実にしている、
このような作業で確実にしている、と説明することができれば、記録がなくてもOKであるということです。
ISOは何でも記録を残すことだと考える方もいるようですが、
記録を残さなければいけないのは、ISOの要求事項に、“記録を維持しなければならない”と
あるものだけなのです。
ISOの審査において、文書や記録は大事なものですが、それらは運用の手段や結果であって、それ自体が
目的ではありません。そして、ISOの活動は、文書などのツールにこだわるのではなく、
向き合うべき人にこだわることです。ISO事務局の仕事は、文書管理だという人もいますが、
管理すべき対象は、人にあり、その人の能力や組織力を最大限に発揮させることにあります。
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