- 小林 良
- 一級建築士事務所 DESIGN-SPEC 代表
- 東京都
- 建築家
対象:住宅設計・構造
前回は「消費活動」というフレーズで結んだ。
今日は、この部分を膨らませていこうと思う。
(果たして、タイトルらしいコラムに到達するのは、いつのことやら。。。)
まず、消費活動というと、ちょっと堅苦しい言葉に聞こえるが、要は「買い物をすること」である。
買い物とは何か?「お金を払って、その対価(物品・サービス)を得ること」である。
このような考え方を「消費者意識」というのだが、とにかくこれが問題なのである。
よく考えてもらいたい。家とは「お金を払って、その対価として得るもの」であろうか?
いや、違う。
家とは、「家族、あるいは親近者が生きていくために、常に使い続ける空間」である。そう、「空間」なのである。「もの」なんかでは決してない。
しかし、自分ではその空間をつくれないから、プロフェッショナルに依頼するのである。その報酬としてお金を払うのである。
さあ、ここに思考のカラクリがある。読者は気付いただろうか?
つまり、家がなんであるかをよく考えない人たちは、家を建てるときに支払うお金というのは、あたかもその家という商品を購入するための代金だと勘違いして、消費者意識のもとに、家を「買って」しまうのである。
だから、「家は一生で一番の大きな買い物、悔いのないように、理想に近づけるよう要望を叶えていきたい」などという、寝言がでてきてしまうのである。
これは明らかに、消費者の立場に居直った横暴。自分がどうするかよりも、どうサービスしてくれるかが常に優先される。これでは、いい家なんかできっこない。ただの売買だ。
さあ、ここで、思考をメタレベルに引き上げよう。
「なぜ、このように消費者意識のもとで、家を買うと考えてしまうのだろうか?」
これは、少し話がややこしくなるが、「個」というものについて説明しなければならないだろう。
ちょっと長くなったので、(7)につづく。
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