- 羽柴 駿
- 番町法律事務所
- 東京都
- 弁護士
対象:民事家事・生活トラブル
- 榎本 純子
- (行政書士)
他方、F運転手の警察・検察に対する供述調書に目を向けてみましょう。
前述のように、F運転手は私に対してはいつも、黄色信号を見たのは西側停止線のすぐ近くだったと話していました。ところが警察・検察に対する供述調書では、西側停止線の約60−66メートル手前で見たという供述が圧倒的に多く、私に話したものと同じ内容の調書は、わずかに一つにとどまっていました。これらの調書がF運転手にとって致命的とならないか、という懸念を私は抱いていました。
なぜこのような調書が作られたのでしょう。F運転手は次のように述べています。
「逮捕後も初めのうちは、交差点近くで黄色信号に変わった、子どものほうは赤信号だったのではないか、と述べていたが、警察官らに頭ごなしに否定され、『一緒に渡った子どもが青信号で渡ったと言っているのに、まだそんなことを言うのか。死んだ子どもに申し訳ないと思わないのか』などと責め続けられた。何度話しても否定され、『おまえがどう言おうが交通刑務所に行くことになる』『残された子どものことも考えてやれ』と自白を迫られた。ついには『新聞やNHKニュースでおまえの信号無視だと報道している』と言われたこともあり絶望的な気持ちになり、あきらめて警察官の言うとおりの調書作成に応じた。」
皆さんはこの話を聞いてどう思われるでしょうか。
(次回へ続く)