- 湯沢 勝信
- 東京都
- 税理士
対象:税金
本日は前回お話ししました「役員給与Q&A」の五つの事由から、
Q1.業績悪化改定事由に該当する“経営状況の悪化”の範囲
についてお話ししていきます。
質問例:当社(年1回3月決算)は、役員に対して支給する給与について、定時株主総会で支給限度額の決議をし、その範囲内で定時株主総会後に開催する取締役会において各人別の支給額を決定しています。
ところで、本年度は会社の上半期の業績が予想以上に悪化したため、年度の中途ではありますが、株主との関係上役員としての経営上の責任から役員が自らの定期給与の額を減額することとし、その旨取締役会で決議しました。
このような年度中途の減額改定は「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」(業績悪化改定事由)による改定に該当しますか。
なお、減額改定前の各支給時期における支給額及び減額改定後の各支給時期における支給額は、それぞれ同額です。
解答:ご質問の改定は、経営状況の悪化に伴い、第三者である利害関係者(株主、負債者、取引先等)との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情が生じたために行ったものであり、業績悪化改定事由に該当するものと考えられます。
したがって、このような事情によって減額改定をした場合の改定前に支給する役員給与と改定後に支給する役員給与は、それぞれ定期同額給与に該当します。
このQ&Aが出るより前は、業績が悪くなってしまった時には役員給与を下げても良い、という事ではありましたが、では具体的にどれくらい悪化すれば下げても良いのかが不明確で、
利益調整のみを目的として減額した
一時的に資金繰りが悪くて支払いが出来ずに減額改定した
立てた目標よりも業績が悪かった
等、そういう理由では認可されない、と言われてきました。
「悪い」というのは会社が倒産するくらいに悪くなければいけないのではないかと、余程の事が無い限りは認められないのではないかと思われていたわけです。
この部分が、このQ&Aによって明らかにされました。
詳しい解説につきましては次回引き続きお話しさせて頂きます。