- 江藤 繁
- 有限会社エストア 代表取締役社長
- エクステリアコーディネーター
対象:エクステリア・外構
- 久保田 優一
- (ガーデンデザイナー)
子供にとってそのすべてが有効なものばかりではないことを、昨今の子供を取り巻く報道などから明らかでは
ないでしょうか。そうした環境の中心に住宅の存在があります。
子供に与える悪い環境を全て駆除することは難しいことでしょう。
そうした環境であればあるほど注意を傾けながらも、前回お話させていただきました親子の
コミュニケーション・親子の絆を強めることに努めることが、非常に重要となってくるのではと思います。
親子のコミュニケーションを毎日の暮らしの中で自然と行える様に工夫することが、
住宅設計に関して大きな意味を持つのです。
例えば家を出る時に親の顔を見ないで出掛けていける間取りは、親子のコミュニケーションを
自然と行えない間取りと言っていいでしょう。帰宅時にしても同様です。
必ず子供部屋から一度はリビング・ダイニングを通り、玄関へ向かう動線が望ましいことになります。
こうした動線・間取りを構築すると帰宅した子供の顔を見ただけで、今日の出来事がなんとなく
解ったり、元気かそうでないかも解ります。
言葉でのコミュニケーションばかりではなく『見る』『見られる』ことでのコミュニケーションが重要なのです。
この場合の住宅の間取り・動線は、玄関→玄関ホール→リビング若しくはダイニング→階段→廊下→子供部屋
となり、リビング若しくはダイニングに階段が設置されることになります。
<子供部屋が2階にある場合を想定しています。
1階の場合にはリビング若しくはダイニングに隣接して子供部屋を設置します。>
リビング・ダイニングに階段を設置すると熱効率(暖房・冷房など)の面においてデメリットが発生する
場合がありますが、階段前に扉(ドア)やロールスクリーンなどを施す工夫をすることで室内環境を
維持することが出来ると思います。
室内空調関係は工夫によって住宅完成後にも対応出来ることも多いと思いますが、
子供部屋の概念による間取りの構築は住宅の完成後では対応出来ない場合がほとんどです。
建売住宅のチラシでは玄関に入って直ぐに階段があり2階に上がれる間取りが非常に多いですが、
購入時に階段をリビングに設置して欲しいと言っても「無理です。」と言われることでしょう。
家族のコミュニケーションを構築し、自然とコミュニケーションが取れるということは、
ある特定の場所に人が集まることが第一歩なのです。
人の集まりが悪い場所ではコミュニケーションを多く取ることは難しいのです。
つづきは次回とし、子供部屋考察最終回です。