- 寺岡 孝
- アネシスプランニング株式会社 代表取締役
- 東京都
- お金と住まいの専門家
-
03-6202-7622
強欲が失敗を招く不動産投資
昨今のスルガ銀行の問題を皮切りに、レオパレス21の施工不良問題や偽装行為、加えて西武信用金庫やタテルのような会社で不動産に対する不正融資がらみが明るみに出て、不動産投資には対してはいいイメージがありません。
こうした不祥事を見ていると、過去にあったバブル崩壊の前兆とよく似ていることがわかります。
皆さんはお気づきになっていますでしょうか。
その当時の出来事では、耐震偽装で問題となった姉歯事件を皮切りにマンション販売業者は倒産に追い込まれました。
また、金融機関の不動産に対する融資が多すぎた結果、国が融資の引き締めをし、結果的に多くの不動産会社は倒産という流れに…
姉歯事件のような不祥事はレオパレスの問題に該当し、金融の引き締めはスルガ銀行などの不正融資発覚後にローンの貸し出しの引き締めという流れに該当しています。
特に、不動産に対する融資は2019年4月以降、厳しくなっています。
また、バブル期の不動産価格の上昇は需要の喪失になりましたが、現在の都心の新築マンションも価格は高すぎて売れない物件が続出しています。
こうした現象を鑑みると、過去に起きたバブル崩壊を彷彿させるものであり、過去の教訓も喉元過ぎれば熱さを忘れるがごとく、また同様の状況になりつつあります。
これには、マネーを取得したいという強欲や将来も永遠に不動産価格が上がるという希望的観測で流されてしまうリテラシーの低さが不動産業界にはあるということなのでしょう。
ババ抜きのトランプゲームは最後までババ1枚をもっていると負けるわけですが、不動産投資をババ抜きのゲームに例えると、ババの数は1枚ではなく非常に多いのです。
それは、過去のバブル崩壊後を顧みるとよくわかります。
コロナショックで不動産価格はどうなるのか??
コロナの影響で株価は連日、乱高下を繰り返しています。
株価はある意味、美人投票に似ており、例えば、コロナウイルスに効果のある薬が出れば、そこに買いが集まるのものです。
不動産も株と同様に美人投票的ではありますが、株は人気薄になれば、すぐに売って現金に換えることができます。
しかしながら、不動産はすぐに現金化出来ません。
加えて、株は誰が見ても1株がいくらかわかるので、売り買いの損得はとっさに計算できますが、不動産の価格は公開市場がないので、値段があってないようなもの。
したがって、非常に難しい投資先であることは間違えありません。
さて、コロナの影響で在宅ワークを勧める企業がかなり出てきました。
こうした在宅ワークが進行するにしたがって、住まいの考え方に変貌が起き始めています。
高価な住宅ローンを借りて、しかも夫婦共働きでないと返済できないマンションを買った人は、概ね職住近接の場所を選択してます。
また、高額なローンを組みたくない人は、そこそこの郊外に住んで、都心の会社に30分から1時間程度かけ通勤するという人もかなりいます。
こうした状況は今まででは当たり前でしたが、在宅ワークという働き方が生まれると、会社に行く必要は減少します。
そうなると、高い住宅ローンを借りて、無理して買った都心のマンションに住む理由が薄れます。
何故かって言えば、職住近接の住まいを買った理由の1つには、毎日会社に行くことが前提になっていたからです。
子供を保育園に預け、毎日、短距離でも通勤電車で通うという前提が、在宅ワークという働き方で職住近接に住まう必要がなくなってきています。
在宅ワークをするとなれば、そこそこ広い住まいで、夫婦がそれぞれの書斎的な部屋で仕事ができれば、それに越したことはないのです。
例えば、都心から新幹線で1時間圏内に住むとなれば、家計占める住宅費用はかなり減額されます。
こうした状況や考え方が浸透すると、都心にわざわざ高いローンや高い家賃の住まいの需要は減少傾向になってきます。
となれば、当然ながら不動産価格は今の状況と変貌する可能性が高いといえます。
現に、コロナ疎開と言われるように、軽井沢や那須といった昔の別荘地は都心からの人でいっぱいの様相です。
不動産価格は、そこに需要があれば値段は付きますが、需要がなくなれば値段が付きません。
したがって、近い将来、都心の不動産価格はある一定の場所以外は大きく変貌してもおかしくはないのです。
業界が創り上げた不動産を買ってもらうための、理路整然とした考え方
巷でいう不動産投資とは、ある意味、不動産の物件を買ってもらうために編み出した販売手法の1つでもあります。
加えて、不動産会社が執筆にあたる不動産投資の書籍も多数出回っており、そこには家賃収入を得るメリットとその得かたがいとも簡単にできるように書かれており、読者を洗脳させてしまいます。
そのセールストークには、将来のお金の不安を煽り、弱い人間の心に巧みに付け込む要素がふんだんに含まれています。
「節税効果」「生命保険代わり」「年金代わり」「資産がたくさん持てる」、
これらをキーワードにというイメージを抱かせて、投資物件を買わせるのが不動産会社の手法です。
イメージ先行で話を進めますから、株式投資など本来の金融商品とは異なり、目論見書もありません。
したがって、収支計画は出す必要はなく物件さえ買ってもらえばいいのです。
私はここ数年の間、こうした手法にまんまと乗せられてしまった人を数多く見てきました。
節税できると言われて2億の借金で不動産投資した人、
将来の生活不安から不動産投資をすれば収入も安定し、サラリーマンも辞められるという希望的観測で1棟マンションを買った人、
など、
不動産業者が購入時に予想していた結果とは真逆の結果が今、起きています。
既刊「不動産投資は出口戦略が9割」で紹介しました失敗事例のような相談が、残念ながら今も途絶えることがなく来ているのが現実です。
こうしてみると、私は改めていかにお金と不動産のリテラシーが少ないかを痛感させられます。
私は、こうした相談事例を反面教師として、いかに皆さんがお金と不動産のリテラシーをどれだけあげられるか、また、「投資」というフィルターを掛けられた「不動産投資の正体」を探してみたいと思います。
新刊「不動産投資の曲がり角 で、どうする?」
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このコラムの執筆専門家
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