- 晝間 康明
- ひるま矯正歯科 院長
- 歯科医師
対象:一般歯科・歯の治療
多くの患者さんに矯正歯科治療を深く理解して頂くためには,矯正歯科治療がどの様に育ってきたかを知っていだきたいと思います.
そこで,コラムでは数回に分けて矯正歯科の歴史についてお話していきたいと思います.
まず第1回目は,”矯正歯科の夜明け編”です.
矯正歯科治療を「歯を移動する事」と捉えると,紀元前の書物にすでに「手指の圧力による歯の移動方法」が掲載されていた事から,かなりの歴史を持つ治療と言えるでしょう.
しかしその後の長い期間,矯正歯科治療に関する目覚ましい進歩はありませんでした.
18世紀に入るとフランスを中心としたヨーロッパで近代歯科医学が発展し,その中で歯列弓を拡大する矯正装置が発表され矯正歯科治療の進歩が始まります.
19世紀半ばになると矯正歯科治療の中心はヨーロッパからアメリカに移り,様々な可撤式(取り外し式)の矯正装置,ゴムによる歯の移動方法,治療後の後戻りを防止する装置が開発されました.
そして,いよいよ20世紀になると近代矯正歯科の幕開けです.1900年に近代矯正の父Angle先生がセントルイスで歯科矯正の専門学校を初めて設立しました.
Angle先生の業績は大きく,矯正歯科医に知らないものはいない大臼歯の位置関係によるAngleの分類方法を考案されたり,歯の移動を三次元的に可能とするエッジワイズ法を考案しました.
そしてAngle先生の最も大きな業績は,矯正歯科専門学校から天才的な矯正歯科医を次々と輩出し近代矯正の礎を創った事でしょう.
これが近代矯正歯科の夜明けとなります.
・・・・・続く