- 晝間 康明
- ひるま矯正歯科 院長
- 歯科医師
対象:一般歯科・歯の治療
- 赤岩 経大
- (歯科医師)
- 赤岩 経大
- (歯科医師)
健康ブームにのって,テレビや雑誌には今まで治療することが困難であった疾患に対する最新の治療法,治療技術が度々取り上げられます.
しかし,最新の治療は本当に安心できるものなのでしょうか?
医療は,様々な研究や臨床実績により発達してきました.そして,最新の治療により今まで治療が不可能と言われた疾患が治療できるようになるのです.しかし,その技術や知識の発達の影には様々な反省点も生まれます.すなわち当時ではすばらしいと考えられていた最新の治療法でも,その後の経過で予測しなかった副作用が現われてしまったり,新たな障害を引き起こしてしまう場合があるのです.
有名な例では,うつ病の治療のために開発されたロボトミー手術と言うものがあります.この手術は,脳の一部(前頭葉)を切除してしまうことでうつ病による暴力的な行動を抑制しようとした手術です.ロボトミー手術を行なったモニス博士は,ノーベル賞を受賞しましたが,ロボトミー手術を受けた患者に廃人同様となる重篤な後遺症が多く認められたため.現在では行なう事が禁止された手術です.
ロボトミー手術のように,ある時にノーベル賞と言う高い評価を受けた医療でも,将来には全く否定される事があるのです.
私たちが行う矯正歯科治療も同様でしょう.常に最新の矯正歯科治療に対して関心を持ち,科学的な根拠に基づき批判的な吟味を繰り返した後,患者さんにとって有効であるという治療法は取り入れる必要があると考えます.しかしロボトミー手術同様に,新しい治療法には現時点で検証されていない問題が隠されていない可能性があります.たとえ,患者さんに有効であると判断した最新の治療法であっても常に記録をとり,モニターし分析することが必要であると考えます.