意外と知られていない適格型昇格と期待型昇格 - 人材育成全般 - 専門家プロファイル

葛西 伸一
株式会社メンター・クラフト 代表取締役
東京都
経営コンサルタント

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対象:人材育成

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意外と知られていない適格型昇格と期待型昇格

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10月を迎え早くも1ヶ月が経とうとしている。



この時期は、半期の人事異動のシーズンで異動、昇格した方も多いのではないだろうか。

特に定期異動で特に気になるのは、人事昇格である。
誰が課長になり、誰が部長になるのか・・・

しかし大切なことは、誰が昇格するかではなく、昇格した後に何をするか?である。
ここで昇進する人材に対して会社が考えるシンプルなメカニズムの一つを紹介しよう。

通常、企業昇格人事は、年度始めである4月、次いで下期の始まりである10月が多い。
もっとも最近では4月、10月以外にも昇格をする企業も増えているが、大半は、大きな異動はこの時期が多いだろう。

新しい期になれば当然ながら昇進する人材も増えてくる。
そこでよく話題に上がる。

ある人が昇進した後に、

「なんでアイツが昇進したんだ」
「彼は部長になったのに、ぜんぜんだめだね」
「彼は課長の器じゃないよ」

などの中傷ともいえる批判である。
しかしここで、今一度昇格というものを考えてほしい。

''全ての会社では、例えは課長が部長に昇進する際に、すでに部長に相応しい人材に育ったから、
昇進するのだろうか?すべてそうだろうか?''

「役割が人を育てる」
「仕事が人を育てる」

という言葉がある。
確かに、昇進時に相応しい人材もいれば、昇進時にはまだ物足りないが、潜在能力に期待して昇進させる人材もいる。

つまり、企業の昇進には、

「適格型昇格」と「期待型昇格」の2種類があるのだ。



分かり易く言えば、

「彼は、十二分に実績も上げているし、周囲からの評価も高い。
  課長から部長になれば、自ずから部長に相応しい人材に成長するだろう」

これが適格型の昇格だ。

一方、「彼はまだ部長としては正直もの足りない面がある。しかし、彼には、
強い情熱があるから、より多くの責任と権限を与え、会社が部長としての育成を
しっかり行えば彼は部長に相応しい人材に成長するだろう」

これが期待型昇格だ。

見てお解りのとおり、適格型昇格のほうが、会社にとっては手がかからず楽なのだ。
しかし、彼のような「コンピテンシーレベル5強」のような人材が会社にどれだけいるだろうか?

''あなたが自分の会社の社長だとして下を見渡してほしい。
適格型と期待型、どちらが多いだろうか?''

期待型昇格が多いのが現実ではないだろうか。

ところが残念なことに、期待型昇格であるにもかかわらず、
期待型であることを会社や本人が理解しておらず、
「部長になれば勝手に成長してくれる」という誤解がはびこっている。

私から言わせると、上級管理職の育成放棄にしか見えてこない。
しかし、今一度考えてほしい。
よほどのスーパーマンでなければ、勝手に期待通りの成長はしない。

適切な研修を施し、上司が諦めずに現場でOJT(どんな高い役職であっても)を重ねることで、はじめて期待型昇格に応えられることを。

どんな年齢になっても、どんな役職になっても、
常に学び続けなければそれ以上は成長できないことを、
今一度企業の幹部には思い出していただきたい。

このようなコラムを書いている私自身も、
人間死ぬまで勉強だということを今なお思い知らされる。