- 橘 凛保
- 社団法人橘流恕学アカデミー 理事長 講師
- 東京都
- マナー講師
対象:婚活
- 舘 智彦
- (しあわせ婚ナビゲーター)
「おもやい」「もやう」という言葉
2014年冬東京に大雪が降りました
まだ記憶に新しいと思います
私はその日 電車が後一駅という所で止まり
タクシーで帰ることを余儀なくされました
タクシー乗り場は長蛇の列です
こんな日ですからタクシーはたくさんは走っていません
東京では雪に慣れないタクシー会社は配車しない所が多いそうです
なるほど
結論から書きますと何と4時間余待ちました
遠くに車のライトが見えると
マッチ売りの少女の気持ちです
そのあたたかいともしびはほんのつかの間・・・・・
1台に1人が無情にも乗って行きます
「おもやいで」
この言葉が頭をよぎりました
『もし 私の番になったら 勇気を出して言ってみよう!!』
そう心に決めました
それから4時間と少し・・・・
時計は日をまたいで夜中の0時をまわりました
足の感覚もなにもなくなりました
待てども待てどもタクシーはおろか
車の姿さえありません
ようやく私の番がきました
それから30分ほど待った頃でしたでしょうか
遠くにかすかに車のライトが見えました
なんとワゴンタクシーでした
勇気を出しました
「◯◯方面に行きます。どなたか同じ方向でしたらご一緒に!!」
2人の人が手を挙げました
「おもやいで」
皆さまはこんな言葉をご存知でしょうか
私は茶道でこの言葉を知りました
いい言葉なんですよ
子どもたちの茶道のお稽古でもするのですが
「かずちゃ」という稽古があります
簡単に申しあげますと
「くじ引きのお茶会」です
普通は 上座から順にお茶を頂きますが
この稽古は「くじを引きます」
子どもたちは「くじ」が大好きです
楽しい中に多くの学びがあるお稽古です
この稽古の内容の説明はいつかすることに致しますが
今日は「おもやい」の話をいたします
「かずちゃ」の稽古で亭主(お茶を点てる人)は
7人のお茶を点てます
『一椀一椀点てるのも大変でしょう ここからは2人一緒に頂きますよ』
の意味を込めて
「おもやいでいかがでしょうか?」と正客(お客様の中の一番上の方)に伺います
正客は判断して亭主に申しあげます
「どうぞおもやいでお願い致します」
亭主はそれを受けて2人分のお茶を点てます
つまり点てる回数が半分になる訳です
そう皆さまはもうお判りですね
「おもやい」は美化語の「お」をつけた「もやい」という言葉です
「催合い」「最合い」と書きます
共同でひとつのことをしたりすること(デジタル大辞泉より)
今で言うところのシェアでしょうか
ある方のFBに昨日の新聞記事がつづられていて
このことを思い出しました
「おもやい」は「心を共有すること」
お互いを「おもいやる」ことですね
「想いを馳せ合うこと」「相手の身になること」
「相手を恕する(ゆるすとよみます)こと」
シェアのなかに「恕」の心を感じ取れるものでありたいですね
表面的な「もの」や「場所」のシェアではなく
「心のシェア」を心がけたいですね
かずちゃの稽古にて
一般社団法人橘流恕学(jyogaku)アカデミーhttp://tachibanaryu.net/
一般社団法人橘流恕学アカデミーでは、マナー研修・茶道・和文化などを通して
「恕」の精神を伝えています
「恕学」とは「自分を受け入れること」「相手を受け入れること」「互いに想いを馳せ合うこと」「相手の身になる」を実践して豊かな人生を送るための学びです
橘 凛保(Riho Tachibana)