転換制度って何? - 保険設計・保険見直し全般 - 専門家プロファイル

田中 香津奈
かづなFP社労士事務所/株式会社フェリーチェプラン 代表取締役
東京都
CFP・社会保険労務士

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対象:保険設計・保険見直し

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転換制度って何?

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かづな先生の新保険ゼミ 08.保険加入中のポイント

転換制度は、その時点の転換価格を使って、同一保険会社の新たな保険に加入する制度です。転換価格(下取り価格)はその契約の責任準備金や積立配当金などの合計額になるため、主に貯蓄性のある保険での対応です。転換部分は、保険料を一時払いした形になるので、その部分の毎月の保険料は不要になるため、全く新規の契約をするよりも保険料が安くなります。転換後の保険料は転換時の年齢・保険料率で計算され、元の契約は消滅します。転換後の新たな保険の方が有利に見えますが、転換時には原則告知(または診査)が必要となること、転換時の予定利率が適用となるので、予定利率が高い契約が失われて予定利率の低い契約になる可能性がある、など転換前と転換後でどのように変わるのか、内容をしっかり確認する必要があります。転換価格をどの部分に充当させるかによって取り扱いが異なり、3つの方法があります。定期付終身保険(リンク先:定期付終身保険)に転換する場合を例にして、解説していきます。

基本転換

転換価格を主契約(終身保険)部分のみに充当します。
終身保険の保険料負担が軽減される一方、定期保険特約の保険料負担は軽減されません。貯蓄性のある部分に充当されるため、将来解約しても転換価格の一部が戻ってきます。 

比例転換

転換価格を主契約(終身保険)部分と特約(定期保険特約)部分それぞれに充当します。
終身保険と定期保険特約それぞれについて、保険料負担が軽減されます。定期保険特約が更新をむかえると、保険料負担が軽減されるのは終身保険のみになります。 

定特転換

転換価格を特約(定期保険特約)部分のみに充当します。
定期保険特約の保険料負担が軽減される一方、終身保険の保険料負担は軽減されません。定期保険特約が更新をむかえると、定期保険特約の保険料負担は軽減されません。掛け捨ての部分に充当されるため、保険期間が終了すると転換価格は戻りません。

どの方法を選択するかによって、払込保険料に差が生じます。
転換当初の保険料は、定特転換がもっとも安くなりますが、更新後は定特転換の保険料が一番高くなります。



また、転換前の契約について、その一部を残しながら部分的に転換価格を利用して新たな保険を契約する「分割転換(一部転換)」を取り扱う生命保険会社もあります。

転換制度は、現在加入している生命保険を別の保険種類にしたり、保障額を増やしたいと考えたときに候補にあがる保険の見直し方法で、保険販売員がすすめてくる制度の一つです。特に、定特転換の場合、予定利率の高い契約が低い契約になってしまったなど、実は保険会社に有利なケースも多く見受けられます。また、生保レディの成績は、今も昔も保険料ではなく、保険金額の大きさによって評価されるため、高倍率化の定期付終身保険は過剰な保障額になるだけで、実は売り手側の成績評価や収入アップなどのケースとなることも多いです。このような意図を汲み取られないように、転換を「コンバージョン」と呼ぶ場合もあります。転換を英語で表現すると、「コンバージョン」。表現は違いますが、制度の内容は一緒です。

ここがポイント!

保険の見直しを考えるときに、転換制度は全く新規の契約をするよりも保険料が安くなるため活用しがちですが、保険会社に有利な商品に切り替えられてしまうことが多々あります。一度転換してしまうと、元に戻すことはできませんので、転換前と転換後の変更事項を確認することはもちろんのこと、基本・比例・定特のどの転換制度か確認することが重要です。基本は保険料の払い込みが困難にならないよう、加入時の設定には十分注意することですが、転換を検討する要因が、保険料の負担が大きいためということでしたら保険そのものの見直しが必要です。

(2005.10.9公開 2015.9.24更新)

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