- 石橋 大右
- 株式会社和上ホールディングス 代表取締役
- 大阪府
- 住宅設備コーディネーター
対象:住宅設備
- 松林 宏治
- (住宅設備コーディネーター)
- 松本 秀守
- (住宅設備コーディネーター)
メガソーラーをはじめ、遊休地を利用した太陽光発電施設の建設が全国各地で続いています。過疎地などで余っている土地に太陽光パネルを設置して発電所にするという発想はとても有意義なもので、固定価格買取制度が追い風となって発電所の建設が相次ぎました。
今や、田舎の田園風景を眺めていると大規模な太陽光発電所を目にすることも多くなりました。
このこと自体に問題はないのですが、今回起きてしまった鬼怒川の大水害で、太陽光発電所の存在がよろしくない形でクローズアップされています。
問題になっているのは、茨城県常総市にある太陽光発電所です。
空中撮影の映像を見る限り、なかなかの規模です。
おそらく遊休農地に設置されたものと思われます。
この太陽光発電所は、鬼怒川のすぐ近くにあります。
一部を鬼怒川の堤防と接していることも見て取れます。ただし、ここで堤防のように見えている土手は堤防として設けられたものではなく、自然に出来た土手です。
この流域は水害防止のために堤防の整備を進めていたそうですが、この一帯はまだそれが完了しておらず、自然に出来ていた十一面山と呼ばれる自然の丘が実質的に堤防の役割を果たしていたそうです。
ところが、この十一面山が太陽光発電所を建設するにあたって一部が削られたらしく、それによって高さが若干低くなってしまいました。
今回の鬼怒川水害は越水と呼ばれる洪水で、堤防が決壊したというよりは堤防を多量の水が乗り越えたことによって起きました。
つまり、堤防を削って低くしてしまったら、そこは越水しやすくなるわけです。
しかも、この工事は常総市に無断で行われていました。
民有地なので問題なしというスタンスのようですが、実際にこういうことが起きるのではないかという懸念があったため、市議会でもそれが問題視されたこともありました。
そこに来て、その懸念が現実になってしまいました。
この因果関係については今後調査されるでしょうが、結果によっては何らかの補償問題が出てくる可能性もあります。
実はこの手の危険な太陽光発電所は全国各地にあります。
太陽光バブルとも言われた発電施設の乱立は、一見すると過疎地の遊休地を有効活用して経済効果も見込める夢の事業なのですが、その一方でずさんな工事や強引な誘致活動などが災いしているケースも少なくありません。
環境に優しいと謳っている太陽光発電が、災害を引き起こしていては本末転倒です。
今後の太陽光発電普及において、大きな転機となる一件になったことは間違いないでしょう。
このコラムの執筆専門家
- 石橋 大右
- (大阪府 / 住宅設備コーディネーター)
- 株式会社和上ホールディングス 代表取締役
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