前回はアクロバティック・バレエを紹介させて頂いたので、その流れで今回はもう一つ、もっとアクロバティックでドラマティックな振付けの「スパルタクス」をご紹介致します。
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この物語は紀元前73年~71年にかけて、共和制ローマ末期に起こった最大の奴隷反乱の指導者である、奴隷剣闘士スパルタクスという伝説的な人物を主人公にした、グランド・バレエの中でも数少ない、主役が「男性」のバレエです。
《゚Д゚》☆彡
この作品は、ロシアのボリショイバレエ団の振付家だったグリゴローヴィチの、全3幕から成る大作が世界的に有名です。☆彡
これからご紹介する場面は、その中の第2幕2場で踊られる有名なもので、クラッスス(ローマ軍司令官)率いるローマ軍の侵略により、奴隷に捕えられたスパルタクスが、他の奴隷達と共に反乱を起こし、クラッススに奴隷として買われていた、妻フリーギアを救い出した後に踊られるものです。
愛し合う二人が再会できた喜び、そして絶望や不安などを抱えるその心の機微を、実に見事に表現した芸術的なパ・ド・ドゥ(二人の踊り)です。
この作品は、前回ご紹介したアクロバティックなテクニックそのものを理屈抜きに楽しめる「ワルプルギスの夜」とは少し性質が違い、より芸術的で深みの在る作品となっています。_(_^_)_
アクロバティックなテクニックを駆使しながら、愛し合い助け合う男女の深い愛が、叙情的、且つ官能的に、見事に表現される、芸術性に溢れた素晴らしい場面となっています。☆彡☆彡☆彡
音楽は天才作曲家の一人であるハチャトゥリアン。(^^♫
私は、特にこの場面の美しくドラマティックな音楽が大好きで、何時聴いても心にズンと染み入る様な、その美しい旋律に鳥肌が立つ時もあり、それが役を演じる時に大変踊り易く、飽きる事がありませんでした。
スパルタクス・・・・・ILIR KERNI(元クロアチア ザグレブ国立バレエ劇場プリンシパル)
フリーギア・・・・・・・大園エリカ
以上「スパルタクス」のご紹介でした♫ ☆_(_☆_)_☆
この作品は、是非「全幕」でご覧になって頂きたい作品の一つですが、何せ男性が主役で、スパルタクスというキャラクターに相応しいスターダンサーが必要ですし、又アンサンブルにも男性舞踊手が多数出演する為、
ボリショイバレエ団の様な、相当レベルが高く、大きなバレエ団でなければ上演できない作品でもあり、そんなに頻繁にはお目に掛かれる作品では無いかもしれませんが、
一度観ると忘れられなくなる様な、非常にドラマティックでインパクトの有るグランド・バレエです!
(^^☆彡☆彡☆彡
このコラムの執筆専門家
- 大園 エリカ
- (東京都 / クラシックバレエ教師・振付家)
- 舞踊家(クラシックバレエ) 元プロバレリーナ
natural & elegance
長年プリマとして国内外で活躍。現役引退後は後進の指導とバレエ作品の振付けに専念。バレエ衣裳や頭飾りを作り続けて得たセンスを生かし、自由な発想でのオリジナルデザインの洋服や小物等を作る事と読書が趣味。著書に「人生の奥行き」(文芸社) 2003年