- 杉浦 繁
- Atelier繁建築設計事務所 代表
- 愛知県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
知って建て知って住むということ・・3
昨今の住宅というのは・・
室内環境からエネルギーまで全て最新鋭の機械でコントロールするフルコン住宅。
機械機器などを極力廃し全てを自然素材で建てる自然派住宅。
この2系統に完全に分かれてきているようです。
はっきり言って両極端です。
究極の住宅です。
どっちが正しい?
そんなん知りません。
好みです。
ただ・・
やはりどちらも極端すぎるような気がしています。
バランスが大事・・
適当なのが一番・・
なんじゃないだろか?
と考えるところです。
昨今の住宅展示場に並んでいるのは、猫も杓子もフルコン住宅です。
ま、実際にお客さんが建てるのはそういう家というわけでもないようですが・・
住宅メーカーが総力を挙げて家中を電化し室内環境からエネルギーまでコントロールしています。
素晴らしくECOで住みやすい住宅らしいです。
昨今は家電屋さんとか車屋さんといわれるような業種の方達がたくさん住宅を作っていらっしゃいますのでそういったことも関係あるのでしょう。
ただ・・
建築という物はエネルギーを使わなくても100年そこに建っていなければなりません。
それがどうなのか?
というのははなはだ疑問です。
なぜなら・・
建築の単位時間と機械機器の単位時間は違うからです。
建築の単位時間は先に書きましたように40~100年です。
が、機械機器の単位時間はせいぜい10年、よくもって15年です。
機械は必ず壊れるのです。
ですから建築に最低限必要とされる設備機器、電線とか配管とかさらには便器や浴槽や水栓などという物は10年や20年では壊れないように作られています。
修理すればいい?
でもその間住めなくなってしまいます。
が、給湯器だとかエアコンだとかコンロといった機械類はやはり耐用年数は10~20年です。
壊れたら交換してもらわなければなりません。
ないと家そのものが存在できなくなる機器をつける・・
ということは10年たって壊れたら必ずすぐに安くない機器を交換しなければなりません。
あれも機器、これも機械・・
ほっとくと家そのものが壊れてきます。
便利ですが壊れてもちょっと不便なだけで住むには支障がないように住宅は建てなければなりません。
これに対して自然派などと言われる住宅も多くなってきました。
なんもかんもみんな自然素材、無垢の板に土の壁、などで作られて・・
最低限の設備機器しかいれないなんてのが多いようです。
昔の日本の住宅には確かにたくさんの知恵がありました。
その知恵をうまく使うのは良いことでしょう。
でもね、これも思うのです。
それでは不都合が、まずいことが、住みにくいことがあったので新しい建材が開発されてきたのではないのでしょうか?
自然素材だけでは問題があったので新建材が次々と開発されてきたのです。
確かにそれによって違う形のまた不都合も生まれたかもしれません・・
建材の開発なんてのはそれの繰り返しです。
が、少なくともそれまであった物の欠点は克服しています。
自然素材の良さには反面問題も多々あるわけです。
良さを求めるのなら悪いところも受け入れなければなりません。
土壁の家を高気密高断熱で建てるなんて出来ません。
何年たってもきしまない浮かない腐らない無垢板なんてありません。
いや出来ないわけではない、ないわけではない・・
でもそれでは土壁にする意味などないし、それは無垢板に見える違う物です。
建築の目標とする単位時間100年もたない住宅になってしまうのです。
何100年もっている有名神社仏閣なんてたくさんあるじゃないって?
ならば有名神社仏閣と同様に保守管理修繕を数年ごとにしてもらわなければなりません。
適当がいいと思うんですよ・・
適当が。
バランスです。
何をどこまで求めて何をどこまでやるのか・・
その場所にふさわしいあなたの住み方にふさわしい何かを選んで・・
そのバランスをどこにするのか。
どちらも長所・短所をよく知ってその上で選んで建てなければ・・
極端すぎるのはどうなんでしょう?
Atelier繁建築設計事務所HP
よもやま建築日記~家づくりの現場から~
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