
- 山本 俊樹
- インテグリティ株式会社
- ファイナンシャルプランナー
対象:家計・ライフプラン
- 吉野 充巨
- (ファイナンシャルプランナー)
- 吉野 充巨
- (ファイナンシャルプランナー)
踊り場との見方は変わらず
日本経済は3月に「踊り場入り」を確認したものの、その後発表される経済指標では強弱まちまちの結果となった。しかし、内容を見てみると特殊要因による見かけ上の数字の上昇が目立ち、やはり経済環境は徐々に厳しさを増してきているようである。
まず、2008年1~3月期の実質GDP成長率は、前期比+0.8%(同年率+3.3%)と予想を上回る結果となった。この上昇の要因は、個人消費と住宅投資を中心とした内需が2四半期連続で上昇したことと、好調な輸出が大きい。しかし、いずれも特殊要因による一時的なものとの見方が強い。
個人消費については、うるう年であったことがまず寄与している。5四半期ぶりの高い伸び+0.8%であったが、うるう年効果はちょうど+0.4%と見られている。薄型テレビなどの拡大や時期的にメーカーの新車投入効果も寄与したものと見られる。
また、住宅投資については、昨年改正された建築基準法により遅れていた住宅着工が漸く始動し始めたことが影響している。住宅関連は昨年大きく落ち込んでいるだけに今後も数字としては高めに推移していくものと思われる。
一方の外需である輸出は、前期比+4.5%と大きく上昇を示し、好調さを保っている。1-3月期はサブプライム問題で市場が混乱したが、輸出として影響が出てくるのは4-6月期以降である。そうしたことから、今後も米国経済の落ち込み度合いにより輸出にも大きな影響が出そうである。
さて、もう一つ注目される設備投資であるが、先行指標である機械受注の動向を見ると1~3月期は+2.2%と3期連続で増加傾向を示していることから、順調には推移している。しかし、3月の個別数字は、前月比▲8.3%と大きく落ち込んでおり、特に、加工業種からの受注は▲6.4%と大きく落ち込みを見せている。原油高騰などの原材料価格の上昇が収益環境を悪化させて受注を見送り、或いは先送りしている企業が多いようである。
原油高騰はいつまで・・・
最大のリスク要因は、原油価格が、直近で130ドルを超えるという異常なマーケットになっていることである。完全に投機市場に変化してしまった原油価格について、どのようなキッカケで下落に転じるかまだ見えてこないが、私見としては、オリンピック後の中国経済の変化がキッカケとなるように思う。新興国の需要が増しているので200ドルでもおかしくないというコメントも目立つようになっているが、今の市場は異常であり、各国もそれを認識していることからこのバブルは必ず弾けるものと考える。
中小企業は疲弊
この「日本経済」のところで各コメントは、日本のマクロ経済の概観を中心に書いている。それは、株式市場や為替市場の動向を読むのにはとても重要な項目だからである。しかし、日本経済の実態は、大企業と中堅・中小企業との間の格差が広がってきており、特に、原油価格など原材料価格の高騰からその差は広がる一方である。また、個人消費者のマインドも所得水準が上昇しない中、ガソリンや食品の値上げが続いており、決していさなぎ景気を上回る長期景気拡大期を謳歌しているとは程遠い感覚である。レポートでは、これらの部分についても適宜コメントを今後は付け加えていくことにしたい。