- 山澤 洋之
- 打楽器 マリンバ 演奏・指導 作曲 音楽大学講師
- 音楽家
対象:楽器レッスン
大分、間が空いてしまいました。すみません・・。
さて、吹奏楽コンクール時期真っ盛りという事で
今回からは5回にわたって1曲ずつ課題曲の打楽器についてコラムを書いていってみようと思います。
すべて、私の独断と偏見ですので、皆様の団体の考え、音楽の作り、指揮者・指導者の方に従ってくださいね。
第1回目は、課題曲3番、岩井先生作曲の復興への序曲「夢の明日に」です。
第1回目にしてもう山場みたいな曲を引っ張りだしてきました。
おそらく今回のコンクールでもっとも物議を醸すであろうこの曲。我々の間でも喧々諤々の論争になった事もあります。
そもそも、課題曲とはなにか。との根本まで問われるような部分まで考えさせられましたが、(昨年の長生先生の曲もしかり)今回は、「楽譜の改変は認めない」というルールに則り考えてみましょう。
まずは、ドラムセットの扱いです。ドラムセットが無い場合はスネアドラムとバスドラムでの楽譜を代奏することになりますが、曲の雰囲気が大幅に変わってしまうため、こちらはあまりお勧めできません。
そうなってくると、この曲のキーパーソンはドラムセットとなります。いくつかの団体を指導させていただきましたが、ドラムセットがこの曲の「芯」になっている事を強く感じます。
まず、使っているドラムセットをチェックしてみましょう。ドラムセットのバスドラムもチューニングは必要です。中に入っている毛布などを一度取り除いて、楽器本来の響きはどういう音なのか確認してみましょう。ヘッド、へたれてないですか?
もちろんスネアドラムもきちんと整備しましょう。ヘッド、響き線はOKですか?
スネアは余り深くないものの方が良いと思います。こだわりの音作りをしてください。トムはフロアで良いと思います。
さて、ドラムの楽譜ですが、先ほどのルール「楽譜の改変は認めない」で考えてみます。
リズムや書かれてある楽器は変更できません。
が、工夫はできる事にお気づきでしょうか。まずはシンバル。サイドとトップ使い分けてますか?そして打つ場所、考えて音を出してますか?スプラッシュを使うのも手だと思います。
そしてスネアです。「書いてあるすべての音をすべて聞こえるように演奏する必要はない」と私は考えます。(演奏はしますよ。でもゴースト的にとらえたほうが良い箇所もあり)このあたりは指揮者の指示に従ってほしいのですが・・・全部を出すとどうしても重く、そしてのっぺりとしてしまいます。逆にアクセントの書かれていないところにアクセント的に強く強調したりしてもオシャレだと思います(フィルイン的なところなど)
基本的には、バスドラムを練習、(ハイハットをオープンクローズする時は両足同時に練習スネアとバスドラムで練習、ハイハットとバスドラムで練習、と右足を起点にすべてのコンビネーションが軽やかにできるように練習しましょう。
そしてドラマーはこの曲をソラで歌えるようにしておきましょう、曲を歌いながらドラムをたたけるようになってようやく合奏に参加できる最低レベルになったと思ってください。
道のりはとおいですが頑張りましょう!
さて、他のパートに少し視線をうつします。
まずはタンバリンです。モンキーを使う事が多いと思いますが、モンキーはジングル部分の音色が命です。残念ながらおもちゃのモンキーをそのまま使っていてはこの曲の雰囲気をぶち壊してしまいます。個人的なおすすめはLP174ですが、いろんな楽器をお試しください。そして前半八分音符ですが、振る必要はないと思います。振るのは43からの2小節だけで十分ではないでしょうか?ちなみに私ならHでタンバリン変えます。皮つきタンバリンにして音楽の違いをちょっと強調してみたりしたいと思います。
Sus. Cymですが、ドラムがクラッシュしている時に同時にこちらもジャンジャンならしてるとうるさいです。ドラムの楽譜をチェックしてバランス考えて演奏しましょう。
役割はトレモロのところがほとんどです。
Eの部分、指揮者によって考えが違いますがドラムがスティックで打っている音色のほうを優先してあげましょう。
このパートのシンバルも1枚で良いのですかね・・・。ドラムのシンバルと合わせていろいろ組み合わせると表情がたくさんでて楽しいのですが、そこまで工夫したり、ためしている団体にはなかなかお会いできません。
Glockenの使いかたが見事です。濁らないぎりぎりの音数だと思います。マレットは真鍮、ないしは真鍮入りアセタールとかが良いと思います。
なんだか、グロッケンをプラスティックとかクレアサンとかで叩くのはやってますが、個人的にはいただけません。グロッケンの音盤の材質を考えてみてください。これらをキレイに鳴らすのにその材質はあってますか?是非ホールで聴いてみてください、その音色は本当にグロッケンの音色ですか?と思ってしまいます。繊細な音色こそ真鍮やアルミや真鍮入りでしか出せませんし、音量のコントロールはテクニック、マレットを変えるのは音色を変える事だと思います。
オプションになっているティンパニですが、入れる場合は歯切れよく。かなり軽やかに演奏しましょう。CとDesやEsとDと隣接する音が出てきますのでミュートをしっかりと。(Desを叩くときにはCを止めます)
さて、専属コーチをやらせていただいている盛岡吹奏楽団のおかげで岩井先生とは毎年一回(去年はまさかのハプニングでお会いできませんでしたが)先生の指揮でポップスステージをやらせていただいてますが、先生のポップス(とひとくくりにするのも迷ったのですが)への深い造詣、そして吹奏楽への愛情は本当に素晴らしく、そして深いです。
是非、出来るだけ先生の編曲なさったニューサウンズなどをたくさん聞いてください。そこから先生がこの課題曲に込めた思いを少しでも汲み取っていきましょう。
想像力を創造力に変えて。