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村田 英幸
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閲覧数順 2016年12月07日更新

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破産とは

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第3 破産

1 概説

(1)申立て

 破産手続は、債務者が経済的に破綻した場合にその財産の適正かつ公平な清算を図り、経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする裁判上の手続です(破産法1条)。

 破産手続は、債務者が支払能力を欠くために、その債務で弁済期にあるものについて、一般的かつ継続的に弁済することができなくなった場合(支払不能、破産法2条11項)および、法人である債務者(存続中の合名会社および合資会社を除きます。)がその債務についてその財産をもって完済することができない状態となった場合(債務超過、破産法16条1項)に開始されます(破産法15条1項、同16条)。破産手続開始の申立ては債権者または債務者がすることができますが(破産法18条1項)、破産申立ての濫用を防止する観点から、債権者が破産手続開始の申立てをするときは、その有する債権の存在および破産手続開始の原因となる事実を疎明しなければならないとされています(破産法18条2項)。

(2)財産の管理処分権

 破産手続が開始されると裁判所によって破産管財人が選任され(破産法31条1項、同74条1項)、破産財団に属する財産の管理および処分をする権限は破産管財人に専属することになります(破産法78条1項)。

(3)破産債権等

 債権者が破産者に対して有する債権(破産債権)は破産手続によらなければ行使することができなくなり(破産法100条1項)、原則として平等な配当に服することになります。

 もっとも、一定の請求権は財団債権として破産手続によらずに随時弁済を受けることができます(破産法2条7項、同148条、同151条)。

 また、特別の先取特権(民法311条~328条、商法842条、同843条)、質権または抵当権を有する債権者は、かかる権利を別除権として破産手続によらずに行使することが認められています(破産法65条)。ここで、商法(商法521条、557条、562条、589条、753条)または会社法(会社法20条)の規定による留置権は、破産財団に対しては特別の先取特権とみなされますが、民法上の留置権(民法295条)は破産財団に対してはその効力を失うとされています(破産法66条1項、3項)。また、破産財団に属する土地等についてされている仮登記担保権者は、破産財団に属する財産について抵当権を有する者と同様の取扱いがなされます(仮登記担保契約に関する法律19条1項)。

 さらに、破産財団に属する債権につき一般の先取特権その他一般の優先権がある破産債権は優先的破産債権として他の破産債権に優先して弁済を受けることができます(破産法98条1項)。

 なお、法人は破産手続終了により法人格が消滅するため(破産法35条反対解釈)、破産手続上の配当によって弁済されなかった債権を請求することはできなくなります。

(4)第二会社方式

 破産手続は、前述した第二会社方式で旧会社の清算手段としても利用されます。その際、特別清算の場合と異なって、否認権の制度(破産法160条以下)があるため、新会社への事業譲渡が否認の対象となる可能性があることに注意が必要です。

(5)否認権

詐害行為または偏頗行為によって逸出した財産を破産財団に回復する目的で破産管財人によって行使される権利のことを否認権(破産法160条以下)といいます。

 破産手続開始前の事業を不相当に安い値段で譲渡してしまうと、破産手続開始後に、否認権により事業譲渡が無効とされます。

 否認権の行使により、破産者から受益者に移転した財産権は当然に破産財団に復帰します(破産法167条1項)。目的物が滅失していたり、第三者に譲渡されたりして目的物自体を破産財団に回復することが不可能または困難な場合には、否認権を行使した破産管財人に、価額償還請求権が認められます。否認権行使の目的が破産財団の価値を増殖することにあるからです。また、目的物を破産財団に取り戻すことは可能ではありますが、すでにその価値が減少している場合にも減価分について、価額弁償請求権が認められます。目的物自体を取り戻すことだけでは、逸出した財産の価値を回復する目的を達しないからです(伊藤眞『破産法・民事再生法第2版』436頁)。

否認権の対象となる法律行為が無効とされた場合、譲受人の反対給付たる金銭の価額償還請求権は、原則として財団債権となるところ(破産法168条)、破産管財人には、財産自体の返還を求めるか、財産の返還に代えて、相手方に対して、当該財産の価額から相手方に対して財団債権として履行すべき額を控除した差額の返還を求めるかの選択権が与えられています(破産法168条4項)。

 

2 破産のメリット

 破産手続では、特別清算手続や民事再生手続とは異なり、債権者の同意は不要です。そして、破産手続は固定主義がとられていますから、破産手続後の収入が弁済等に充てられることはありません。

 また、破産手続には、否認権の制度(破産法160条以下)が用意されているので、手続内で詐害行為や偏頗行為が行われた場合に、その効力を否定することができます。

 また、破産手続には、債権確定の制度(破産法124条以下参照)もありますから、債権を迅速に確定することができます。

 さらに、後述する、破産手続のデメリット(厳格な手続、高額な予納金、時間がかかる)を少しでも軽減しようとする試みとして、東京地方裁判所では、少額管財手続という手続が用意されています。

 

3 破産のデメリット

 破産手続は、手続が厳格なうえ、破産の申立て時に裁判所に予納金を納める必要もあり、通常、破産開始決定から破産終結決定までには長い時間がかかります。

 また、経営者としては、苦労して築き上げた会社を失うことになります。特に中小企業の場合、会社の破産と同時に経営者個人も破産を余議なくされるでしょうから、経営者個人の資力も失われ、金融機関からの借り入れもできないでしょうから、従来のような会社経営を継続することは通常、不可能となるでしょう。

 破産者も取締役になることができますから、親族内のだれかを代表取締役とすることで、金融機関からの借り入れも可能となり、引き続き、会社経営を行うことが可能となることもあります。

 経営者が再建の意欲を完全に失くしており、適切な後継者が見つからず、債務を大幅に縮減しても、会社の立ち直りは不可能であるような場合には破産を選択することになるでしょう。

 破産手続は、事業承継に際しての最終手段として考えられます。

 

4 保証人

 東京地方裁判所は、法人の破産手続を申し立てた場合、保証人についても破産または民事再生手続をとるように指導しています。

 破産した個人については、免責および復権の手続が定められています。

 免責とは、破産者について、破産手続終了後の残債務について支払わなくてもよいとする制度です(破産法253条1項)。

 破産者は、一定の資格につけないとする資格制限があります。

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