一箇所から建物内全体が見渡せる間取り - 建築プロデュース - 専門家プロファイル

松岡 在丸
松岡在丸とハウジング・ワールド 
東京都
建築プロデューサー

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対象:住宅設計・構造

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一箇所から建物内全体が見渡せる間取り

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家づくりプランニングで、日本と海外の大きな違いの一つは、家の中全体を見渡せる間取りになっているか否か、というポイントです。

昨今の日本の住宅のほとんどは、家の中心を「リビング」と考えていても、そこから他の空間への動線という観点では、例えばリビングと子供部屋は「端」と「端」に位置するパターンが少なくありません。中間に玄関があるのです。

では玄関から家の中全体が見渡せるか、というと、そういう間取りを見ることはほとんどありません。

 

日本の玄関の問題点

まず、玄関から家に一歩入ります。すると、多くの家はそこが暗い。「中間」に位置していながら、「中心」ではないので、明るくて快適な場所にする必要がない、と考えます。

そこから「リビング」と「子供部屋」に分岐します。ということは、「リビング」から「子供部屋」に至る動線は、中間に暗い出口がある、ということになります。これが親と子供を隔てる「見えない壁」を演出します。

 

家の中心の考え方

何を家の中心にするべきか。それは、家族が絆を深めるべき場所でもありますから、やはりリビングやダイニングであろうという考え方に至ります。欧州の家づくりを見ると分かりますが、家の中心をダイニングにしているプランが少なくありません。

すべての部屋がダイニングを中心に放射線状にプランニングされているわけです。つまり、どの部屋に行くにも、中心であるダイニングを通らなければならない。そしてダイニングには、家族が頻繁に座している。

あるいは、リビングを中心にするという考え方もあります。家族がくつろぐそのスペースを中心に、他の部屋への動線が考えられているのです。

こういうプランですと、「中心」であるダイニングやリビングから、すべての部屋への意識が視覚的にも強まっていきます。

 

見渡せるということは、気持ちが向けられるということ

家の中心に位置すると、そこに住む一人一人に等しく関心が向けられる。そういう間取りを心掛けなければなりません。これが今の日本の建築業界には欠けているところ。プライバシーを間違って捉えてしまい、赤の他人であるかのような距離感を同じ家の中で作ってしまうのです。

家族は家族ですから、互いのプライバシーを尊重しつつも、他人とは違う一体感が必要であり、子供たちはその感覚を得ることで情緒が安定して育ちます。親に見張られているということではなく、親からの適切な関心が払われている、ということが感じられるプランニングです。

そのためには、視覚的に見渡せるという考え方、および空気的に把握できるという考え方が必要で、どこを「中心」に据えるか、そこから全体が見渡せるのかどうかということが重要なのです。

 

もしも注文住宅でプランニングを検討するという場合には、日本の一般的な平面図ではなく、そうした海外のプランニングを参考にして取り組んでみることをお勧めします。

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