寺岡 孝(お金と住まいの専門家)- コラム「ハウスメーカーとの契約を解約する場合に違約金はかかるのか?」 - 専門家プロファイル

寺岡 孝
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寺岡 孝

テラオカ タカシ
( 東京都 / お金と住まいの専門家 )
アネシスプランニング株式会社 代表取締役
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ハウスメーカーとの契約を解約する場合に違約金はかかるのか?

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2022-07-30 22:00

注文住宅の契約を解約する場合に違約金はかかるのか?

今月の初めにこんな相談があった。

『ハウスメーカーで注文住宅の契約をしましたが、解約をしたいと担当者に言ったら違約金がかかるので解約はやめた方がいいと言われました。

でも、私たちは解約したいのですが違約金は払わないといけないのでしょうか?』

加えて、こんなコメントもいただいた。

『インターネットでも調べたのですが、違約金は契約金額の1割程度はかかるとかあって不安です。』

当方でもネットで検索してみたが、中には不可解な記事が見受けられたので、いくつかピックアップしてみよう。


<手付金放棄で解約できるのは不動産の売買契約>

注文住宅の契約はいわゆる工事請負契約にあたるわけだが、不動産の売買契約と同じように捉えている方々が多いようだ。


例えば、契約時に払ったお金は不動産の売買契約では手付金と称し、この手付金は放棄すれば契約は解約できるという解約手付となっている。

ところが、請負契約では手付金という表現はなく単なる契約金と称しており、注文者から契約を解約する場合には、解約時の時点でそれまでにかかった費用を請負者に賠償することで解約はできることになる。

つまり、売買契約にあるような手付金放棄で請負契約が解約できるとは違うということは認識しておく必要がある。


<注文住宅の解約時にかかる違約金の額は不動産の売買契約とは違う>

相談者の方によれば、『注文住宅の契約解約にかかる違約金は、契約金額に対して約1割が目安で、契約金額が4,000万円ならば違約金は400万円です。』とあり、しかも『宅建業法で違約金と損害金の合計は契約金額の2割までと決められていますが、その金額よりも安価ですから安心です。』とのこと。

確かに、不動産の売買契約では宅建業法の縛りが厳しくあり、違約の場合は2割を上限に違約金として請求できる。

しかしながら、請負契約の場合では違約金の上限を定める場合はなく、あくまでも損害を賠償することで契約を解約できるものとしている。

あるハウスメーカーの工事請負契約の約款には、注文者が請負契約を解約する場合には次のように書かれている。

『注文者は、工事が完成するまでには、必要に応じてこの契約を解除できるものとする。この場合注文者は、これによって生じる請負者の損害を賠償するものとする。』

この約款内容は民法に準じているもので、民法第641条 には次のように明記されている。

民法第641条(注文者による契約の解除)

請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。

したがって、契約金額の1割ぐらいが違約金としてかかる等々はおかしいといえるだろう。

例えば、上記の契約金額が4,000万円の請負契約を解約しようとすれば、工事着手前であれば、それまでにかかった費用を実質精算して解約となる。敷地調査や地盤調査を行った場合や詳細設計や確認申請をした場合の費用を注文者は請負者に払って解約ことになる。


請負者に損害を賠償するにあたって、中にはその損害が平均的損害を超える請求をしてくる請負者がいる。

この場合、消費者契約法にある「平均的損害を超える請求は無効とされ、消費者の利益を一方的に害するもの」と判断されるので、もし、こうした請求をされた場合には強く拒否をしてもいいだろう。

また、工事着手後に解約をするとなれば、基礎工事や上棟にかかった材料費用と工賃を支払う格好になる。

当然、このタイミングで解約とあれば、契約金額の2割以上が請求されてもおかしくないわけで、先ほどの2割上限という縛りでは請負者側には割が合わない。

当方で注文住宅の解約をサポートしたケースの詳細を見てもらえばわかりやすい。

解約サポート事例はこちら


<不動産の売買契約では売主・買主 注文住宅の契約では注文者・請負者>

それぞれの契約形態は登場人物が違う。不動産の売買契約では売主と買主が登場人物で、請負契約では注文者と請負者が登場人物。

請負契約における注文者は一般的なエンドのお客さまであり、請負者はハウスメーカーや工務店ということになる。

ところが、請負契約でもお客さまを買主と表現している文面もあり、これを見る限り完成していない建売住宅と勘違いしている感がある。

完成していない建売住宅では軽微な間取りの変更なども受ける場合もあり、これを注文住宅と称して解釈してしまうと大きく間違えてしまう。

注文住宅の解約では売主や買主という登場人物は出て来ないので、そういった表現があった場合には注意すべきである。

建売住宅はあくまでも不動産の売買契約であるので、登場人物は売主と買主、請負契約と間違えないようにしよう。

 

<注文住宅を解約した理由が請負者側にある場合>

民法の定めでは「請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。」とあるが、注文者が解約したい理由の大半は請負者側のミスや理不尽な対応に起因している。


例えば、営業担当者が約束を守らない、依頼事項を忘れる、設計者が的外れな間取りやカラコンばかり提案していつまで経っても設計が決まらない、初めから決められた予算内でお願いしているのに大幅な予算オーバーばかりの提案でとても建築はできない、など、様々な理由で注文者は解約を希望することになる。

当然ながら工事着手もできず、時間ばかり経過して機会損失の損害を被ったのは注文者側にあるとなれば、請負者側にそうした損害を求めることも可能になる。

例えば、建て替えで仮住まいの期間が長期化すれば、その賃料も注文者が負担することになりかねない。

こうした事由であれば、請負者側に既に支払済みのお金を全額返金して欲しいと主張することは可能である。


<まとめ>

注文住宅の解約は時間や労力がかかってめんどうくさいと思いがちだが、契約時に支払ったお金は100万円を超える場合が大半である。

請負者側に非があれば、その非を証明して支払ったお金は返金してもらうべきです。

そのためには、請負契約を締結する前からハウスメーカーなどの請負者との打ち合わせ記録は残しておくことです。

いつ、どこで、だれと、何の打ち合わせをしたのか等々を記録しておけば、言った言わないのトラブルも防ぐことになります。


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