須永 豪(建築家)- コラム「【群れから離れろ】 悩める若者へのレクチャー 4」 - 専門家プロファイル

須永 豪
響きあう木の空間

須永 豪

スナガ ゴウ
( 長野県 / 建築家 )
須永豪・サバイバルデザイン 
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【群れから離れろ】 悩める若者へのレクチャー 4

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建築的 2013-06-28 21:00
大学生へ向けてのレクチャーで話したことの続きです。
 
【群れから離れろ】 
 
はじめにスライドショウで見てもらいましたが、
私は一匹狼の、というか、
野良犬みたいな、ひとりでやってる建築家です。

そして新しい木造を開発しました。
 
100年後には全ての木造住宅が、
この工法(じくばん造)で建ってもいいようにと
考えて作ってます。
 
だから特許はあえてとってません。
権利を囲い込めば普及しませんからね。
 
そして、自分のホームページで
「図面一式を1万円で売ります、
ご自由にアレンジして使ってもらって構いません」
と実際にお買い上げいただいてます。
(→http://www.sunaga.org/works/jikuban.htm)
 
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そのあとは
私自身が東京から松本へ移住したのもあって
 
「木製コンテナを積み木のように組み合わせて家にしよう、
移住するときは大きな大きな旅行トランクのように、
トラックへ乗せて持ち運ぼう」
なんていう提案したり、
 
 
「貯えがないから、家が建てられない」と言うならば、
お金を自分で刷って、素人ビルドにすれば、
無いお金をジャンジャン使えるじゃないか、
 
と、資本主義の一番の闇である、
通貨発行権にも触れるようなものを作ったり、
(→http://www.sunaga.org/katatataki.htm)
 
 
原発事故のあとすぐに
「政府と電力会社にもう騙されちゃダメよ」
っていうTシャツをデザインして、
製造して、通信販売して、
3~4ヶ月で3000枚も売れたんですよ、
(→http://www.sunaga.org/works/311t.htm)
 
 
最近のことで言えば、
財布を買おうかと思ったら、ネット中探しても素敵なのが無かったから、
自分でゼロからデザインして、革の作家さんに作ってもらって、
量産して売っていくコラボを始めようと、
先週から動いてたり、
 
 
あとは、
かつてコミュニティカフェのためにデザインした男性用エプロンが、
今見ても素敵だから、これも販売しようとか、
 
 
建築設計をするかたわらで、
思いついたこと、必要だと思ったこと、気持ちが向かうことを、
やってます。
 
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もし建築家、建築業、って言葉や業界に、
囚われたり、遠慮したりしてたら、
 
こういう動きはし難いでしょうね。
ついつい自主規制しちゃう。
 
とくに
「今の木造はダメだから、すべてを解決してる木造を新しくつくりました。
特許はとりません、ご自由にどうぞ」
なんてポッと出の若造が、建築の専門誌で言っちゃってるわけです。
 
『木造』って業界には「オレこそは専門家」
って自負してる人が、
社寺の棟梁から建築史家までゴマンと居ますから、
そういう人は、きっとオモシロくないでしょう。
 
あらゆる角度から批判されることを考えたら、
怖くて自由にものも言えなくなりますが、
 
でもね、良いんです。
同じ業界人、同業者からの批判は、聞かないことにしたんで、
自由に言うんです。
 
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だって私、何のために新しい木造を作ろうとしたかって、
ずっと向こうの『未来』のためですし、
 
石膏ボード、グラスウール、屋根・外壁のセメント板、
平均寿命26年でそういう産業廃棄物が大量に排出されて、
それを山に穴掘って埋めちゃう、っていう現状を
「しょうがないよね」って言わない『世の中』になって欲しいからですし、
 
それに私に報酬を払って任せてくれてるのは、
目の前に居る、
「35年ローンなので家は長持ちしてくれないと…」
「石膏ボードの壁だと、後から棚も作れないな…」
って心配してる『クライアント』なんですから。
 
 
間違っても『業界人』のため、にやってるわけではない。
『同業者』から報酬をいただいてるわけでもない。
だから、評価や批評を全く気にする必要はないんです。
 
 
でも、ついついやってしまうのが、
ヤラしい批判の想定問答集を、
自分で作って悶々とすること。
 
まずはコレをやめよう。
 
そして、本当に業界の内輪から批判の声が上がろうが
一切気にしないぞ、
と決めたんです。
 
私を頼ってくれた人のため、
世の中のため、未来のために、
と、本気で信じられて、力が湧いてくることだけをやる。
 
そうしたら生き甲斐の毎日です。
 
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こんなふうに、
世の中の枠組みを気に病まずして、
 
集団の、集団による、集団のための自主規制
から外れて生きてこうとすれば、
まぁ、異端にはなります。
 
 
異端を学生や勤め人でずっとやっていくのは大変。
だって先生や上司は、
あなたのやることを評価したり批判するのが仕事ですから、
 
上司や先生からから
「キミの提案は、よくわからないな」
なんて言われれば、
 
そういう『過去の人』にも分かりそうな、
『過去のもの』に直しちゃうでしょう?
 
 
このやり取りに慣れてくると、やがて
はじめから『過去のもの』しか提案しないようになりますね。
 
なんと、
あなたは枠組みの牢獄へ、
 
自分から進んで入っていくのです。
自主規制の奴隷です。
 
 
次には、自分の居るステージ(世界・場)に希望がなくなって、
自分が自分がで居ることもできなくなって、
 
最後に、「もういいやぁ」という諦めの境地に至ってしまったとき、
『自殺という非常口』の扉を開けてしまう。
 
胸が痛みます。
でも、私もその気持ちは分かります。
 
 
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私はこの5年ほど、建築設計関係の人が集まる場には、
出て行かないようにしてました。
 
批判されるのも、
自主規制内で作られてるものにコメントするのも
面倒だったので。
 
 
でも最近わかってきたのは、
異端でフリーランスだと、
「わからない」人からは無視されるだけだし、
そもそも、何の声も掛かりません。
そして、真正面から批判してくる人は、
ほとんど居ないんですね。
あんがい、応援してくれる人の方がチラホラ。
 
今日の渋谷先生も、4ヶ月前に私の建築を見に来てくれたのが縁で、
このレクチャーを設定してくれましたしね。
こういうふうに、面白がってくれます。
 
 
だから、異端でも良いみたいですね。
また逆に、異端であろうとガンバル必要もありません。
 
フツーにしてればいいの。
興味の魅かれるままに動く、思った通りに言う、
そして、よく笑う。
それだけ。
 
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『枠組みの牢獄』から自由になるために、
それを壊そうとすれば、そりゃもう大変なエネルギーがいります。
それではムダが多すぎる。少人数ではムリだし。
 
だから
『枠組みの牢獄』が自壊していくのを待ちつつ、
『過去の人』が消えていくのを待ちつつ、
 
自分は「イチ抜ーけたっ」って
お先にスルリと抜け出る、
それしか手はないんじゃないかなぁ?
 
恐竜が絶滅していった時期に、生き残ったのは
逃げ足の速い、体も小さい、ネズミみたいな動物だったって、
言うじゃないですか。
 
 
私の座右の銘、ふたつをあなた方に贈りましょう。
 
『やりたいことだけ うんとやる』
そして
『群れから離れろ!』
 
 
 
(明日は「なぜ人は道に迷うのか」というお話し。
 いよいよ佳境に入ります…)
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