響きあう木の空間
須永 豪
スナガ ゴウ
(
長野県 / 建築家
)
須永豪・サバイバルデザイン
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『ドラムカンの家』
-
建築的
2013-06-24 22:44
『ドラムカンの家』におじゃましてきました。
これを設計した設備設計のエンジニア川合健二氏の自邸。
いまは奥様の花子さん(94歳!)がお一人で暮らしています。
よくお話しになり、野に咲く花のように愛らしく笑う、
素敵なおばあさん。
今は自分が亡きあと、
この建築を何かしらの方法で保存ができないか、
案じておられる。
奇才エンジニアの妻といえ、
簡単に住みこなせたわけはない。
『ドラム缶の家』という愛称の通り、
壁・天井はコルゲートという波鉄板、
床も工場の床のような鉄板。
そこにミッドセンチュリーの飴色になった家具が並び、
真ん中にはコタツ。
家に入れていただいてまず感じたのは
「…ホントだ。す、住んでる…」
もう、それだけ。
それほどの家。
川合氏は、ある日突然ポルシェを買い、
自分は運転ができないからと妻にさせる。
それでも、常に言うことには嘘がなく、
筋が通っていて、
何ごとにも説得力があった。
ポルシェにしてもワーゲンにしても、
「コレ、と言ったらコレしかない」ってひとです。
『つくりに納得がいく』んでしょうね、と花子さん。
感情を理屈で消化できる女性は稀。
なるほど、この花子さんあっての健二さんだったのだ。
花子さんのキュートな話しぶりを思い出していたら、
『塔の家』の東孝光さんの奥様(道子さん)と印象がよく似ていることに気が付いた。
これを設計した設備設計のエンジニア川合健二氏の自邸。
いまは奥様の花子さん(94歳!)がお一人で暮らしています。
よくお話しになり、野に咲く花のように愛らしく笑う、
素敵なおばあさん。
今は自分が亡きあと、
この建築を何かしらの方法で保存ができないか、
案じておられる。
奇才エンジニアの妻といえ、
簡単に住みこなせたわけはない。
『ドラム缶の家』という愛称の通り、
壁・天井はコルゲートという波鉄板、
床も工場の床のような鉄板。
そこにミッドセンチュリーの飴色になった家具が並び、
真ん中にはコタツ。
家に入れていただいてまず感じたのは
「…ホントだ。す、住んでる…」
もう、それだけ。
それほどの家。
川合氏は、ある日突然ポルシェを買い、
自分は運転ができないからと妻にさせる。
それでも、常に言うことには嘘がなく、
筋が通っていて、
何ごとにも説得力があった。
ポルシェにしてもワーゲンにしても、
「コレ、と言ったらコレしかない」ってひとです。
『つくりに納得がいく』んでしょうね、と花子さん。
感情を理屈で消化できる女性は稀。
なるほど、この花子さんあっての健二さんだったのだ。
花子さんのキュートな話しぶりを思い出していたら、
『塔の家』の東孝光さんの奥様(道子さん)と印象がよく似ていることに気が付いた。
お二人とも論理の美しさを知っている、可憐なおばあさま。
そしてどちらの家も、写真では過激でストイックに映るのに、
そこへ身を置いてみると、ついつい居座ってしまう、
そこへ身を置いてみると、ついつい居座ってしまう、
落着く居心地の良さがある。
それはどうやら、奥様がつくりだしている空気感、
『暮らしの気配』なのだろう。
男は作るだけ、育てるのは女なんだなぁ。
花子さんの世話人をされてるおばさまへ、
例えばこういうのはどうか、
と持ちかけてみた。
「この建築の保存のために、ひとり1万円を1万人が出せば1億円になる。
1万円出した特典として、この家を見学できる。
一度に50人の見学を毎週末やったとして、4年間で1万人」
無理だろうか?
それともいつか「買い取って自分の事務所にしたい」
そういう建築関係者も現れるだろうか。
この20世紀の傑作が、ひっそり消えることだけは、
ナシにしてほしい。
そうそう忘れていたが、
私もコルゲートに憧れた時期があった。
結婚したばかり、25歳くらいの頃、
「吉祥寺にコルゲートで自分の家を建てよう」と言いはじめたことがあった。
中道通りあたりにとても小さな土地を譲ってもらい、
建築面積6畳ほどの4階建て、コルゲートの塔の家を、
寝っ転がらせるのではなく『立てる』。
外観はドでかい缶コーヒーのようになるから、
そこへ『BOSS』とペイントさせて家そのものを広告塔にし、
広告費をローンの返済に充てればいい、と。
ちょうど路線バスの車体全体に広告を貼るのが始まった頃で、
広告のデザインがなかなか良かったので、
月代わりで新しい広告で全面ペイントしていけば、
それも楽しいじゃないか、
と思ったのです。
うちの場合は妻は反対しました。
私も押し切るまではしなかった。
(成功させる自信もなかった、ということでしょう)
ま、それはそれで良かったのかも知れません。
松本へこうして気軽に移住して来れたのですからね。
さてさて、ウチのはどんなおばあさんになるのでしょう。
楽しみです。
例えばこういうのはどうか、
と持ちかけてみた。
「この建築の保存のために、ひとり1万円を1万人が出せば1億円になる。
1万円出した特典として、この家を見学できる。
一度に50人の見学を毎週末やったとして、4年間で1万人」
無理だろうか?
それともいつか「買い取って自分の事務所にしたい」
そういう建築関係者も現れるだろうか。
この20世紀の傑作が、ひっそり消えることだけは、
ナシにしてほしい。
そうそう忘れていたが、
私もコルゲートに憧れた時期があった。
結婚したばかり、25歳くらいの頃、
「吉祥寺にコルゲートで自分の家を建てよう」と言いはじめたことがあった。
中道通りあたりにとても小さな土地を譲ってもらい、
建築面積6畳ほどの4階建て、コルゲートの塔の家を、
寝っ転がらせるのではなく『立てる』。
外観はドでかい缶コーヒーのようになるから、
そこへ『BOSS』とペイントさせて家そのものを広告塔にし、
広告費をローンの返済に充てればいい、と。
ちょうど路線バスの車体全体に広告を貼るのが始まった頃で、
広告のデザインがなかなか良かったので、
月代わりで新しい広告で全面ペイントしていけば、
それも楽しいじゃないか、
と思ったのです。
うちの場合は妻は反対しました。
私も押し切るまではしなかった。
(成功させる自信もなかった、ということでしょう)
ま、それはそれで良かったのかも知れません。
松本へこうして気軽に移住して来れたのですからね。
さてさて、ウチのはどんなおばあさんになるのでしょう。
楽しみです。
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