日銀の金融緩和と5月の住宅ローン金利
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4月27日に日本銀行が追加の金融緩和を行いました。金融緩和は、政策金利を引き下げて、それに連動する住宅ローンの変動金利も引き下げるのが一般的ですが、日本は既に政策金利を0~0.1%まで引き下げているので、これ以上引き下げようがありません。従って、今回も市場に出回るお金の量を増やして、相対的にお金の価値を引き下げる政策が取られました。
今回の政策内容には長期国債の10兆円買い増しが含まれているため、銀行の固定ローンや機構のフラットなどは金利低下の恩恵をうけるものと考えられますが、現在の主流である変動金利には影響はありません。
日本銀行としては金融緩和を行うことにより、日本が円安になり、それを好感して株式市場が上昇、景気が回復するシナリオを描いているようですが、どうもタイミングが悪く、今回も逆に円高・株安となっています。(長期金利だけは思惑通り0.9%を割り込んでいます)
今後も追加緩和は避けられないというのが市場の見方で、今回のような形であればさらに長期金利が低下することも予想されます。
それでは、5月の住宅ローン金利です。まず変動金利ですが、これは据え置きとなりました。4月27日に日本銀行で開かれた、金融政策決定会合でもゼロ金利政策が全会一致で決定されるなど、現在は金利を引き上げる環境にはありません。
次に固定金利です。5月の全期間固定金利は、三井住友銀行では前月比0.07%低下の2.63%となっています。
これは円安で上昇していた株価が、円高になり下落したことにより、安全資産の長期国債が買われ、長期金利が1%を割る水準まで低下したことが原因と考えられます。
今後の見通しですが、変動金利はしばらく据え置きとして、固定金利は今後も為替と株価の動向に左右される展開となりそうです。
アメリカの雇用統計や欧州の選挙結果など、世界市場に与えるイベントは今後も続きますが、日本の株式市場はやはり円高基調か円安基調かに大きく左右されます。株価が上昇すれば金利は上昇、下落すれば金利も低下するため、結局は為替に注目する必要があります。
現在の所、再度80円を割り込む水準まで円高が進んでいることを考えますと、固定金利の目安となる長期金利は現在の1%を割り込む水準で推移するものと考えられ、来月の全期間固定金利は、現時点ではほぼ横ばいかやや低下の設定になるものと考えられます。
なお、フラット35の金利は月初の第2営業日にあたる、5月2日に発表の予定です。
沼田 順(CFP(R)認定者・1級FP技能士、宅地建物取引主任者、住宅ローンアドバイザー)
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